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千変万化*バックハウス、シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・ピアノ協奏曲5番「皇帝」

ヴィンテージレコードのご案内ベートーヴェンを弾く上でピアニストにとって意識せざるを得ない録音。ベートーヴェンを聴く者にとっても最初に選ぶべきレコード。

JP LON SLC1232 バックハウス・イッセルシュテット・ウィーンフィル BEETHOVEN EMPEROR《最初期FFSS 180㌘重量フラット盤》JP LONDON SLC1232 バックハウス イッセルシュテット ウィーン・フィル ベートーヴェン ピアノ協奏曲5番・皇帝 BEETHOVEN EMPEROR
 鍵盤の獅子王と異名をとる日本でとりわけ人気の高いピアニスト。バックハウスのピアノですが、言い尽くされている通り特徴が無いのが特徴といえるでしょうか。要は、テクニックをひけらかすわけでもなく、その澄んだ音色ともあいまって、ひどくシンプルなのです。
 でも、繰り返し聞いていると、何か、そのピアノが、まるで、融通無碍(ゆうずうむげ)の境地で、自由にブラームスの音符と戯れているように、静かな所は静かに激しいところは激しく聴こえて来るところが、彼の魅力と言えるでしょうか。
 このバックハウスを土台からしっかり支えているのが、壮年期で充実しかけたシュミット=イッセルシュテット。テンポも速く、劇的な演出はどこにもないが、曲が進むに連れて熱気を帯びてくる。シュミット=イッセルシュテットの解釈であろうが、ウィーンフィルの奏者達のバックハウスへの献身こそが活気を呼び起こしているのかも。
 オーケストラは、アコースティックな響きを伴って迫ってくる。音圧が高く、音に密度と力がある。高域の空間と伸びは適度。低域は空間が広く、密度のある音。チェロをはじめとする弦楽器も温かい音色で、高低の分離も良い。お互いに晩年に差し掛かり 枯れた境地 が伝わって参ります。
 バックハウス晩年のステレオ録音による比類なく美しい名演です。この巨匠にとって最後のベートーヴェン協奏曲全集になるであろうことを指揮者もオーケストラも噛みしめて、最高のサポートをしています。高名な老巨匠であるから、数えきれない回数演奏を重ねてきたはずですが5曲の協奏曲の個性が活き活きとしている。もちろん「皇帝」が、その名の通りの出来で、山ほどあるレコードの中でも最高峰のうちの一つ。
 1959年ステレオ録音。バックハウスならではの悠然たるピアノ、彼が愛して止まなかったウィーン・フィルの典雅な響き、シュミット=イッセルシュテットの堅固な造形、これらが三位一体となった名演奏。彼の残した最も録音の条件の良い《皇帝》として、永く聴き継がれて行くことでしょう。
 シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィルが作曲家の青春時代に相応しい希望に満ちたサポートを繰り広げています。永遠の名盤、ドイツ盤です。
1959年6月ウィーン、ムジークフェラインザールでのセッション録音。優秀録音、名盤。
CDはアマゾンで購入できます。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
ヴィルヘルム・バックハウス
Universal Music
2017-12-01


ベート-ヴェン的レガート奏法が散りばめられた第3番はベーゼンドルファーの雅で深い響きが徹底的に追求され、バックハウスの凄さに改めて驚嘆する。

協奏曲ディスク史上に輝く、人類の持つ至宝

 録音は、1956年以来1980年代にいたるまで、デッカのウィーンにおけるステレオ・セッションのホームグラウンドとなったゾフィエンザール。19世紀前半に浴場として建てられ、その後舞踏会場として使われていた建物で、ヨハン・シュトラウスも頻繁に舞台に立ちました。このホールは、細部の音まで明晰に収録・再現しようとするデッカのレコーディング・ポリシーに最適で、伝説的なショルティの《ニーベルングの指環》をはじめとする、デッカ・サウンドの代名詞となった名録音が次々と生み出されました。このホールの木質の温かみのある響き、適度な残響は、細部の一音に至るまで明晰に収録しようとする同社の録音ポリシーには理想的な会場で、そこでの録音は、オーケストレーションの綾や空間性を生々しく再現する骨太なデッカ・サウンドの代名詞ともなりました。独奏ピアノを不自然なほどにクローズアップせずとも細部のニュアンスとソロ楽器としてのプレゼンスを保つことができ、しかもオーケストラのマスとしての余裕のある響きも確保されています。
 1958年〜1959年の間に録音された全集ですが、その音質は全く古さを感じさせず、各曲共に統一された音質で時間の隔たりを感じさせません。音色は気品に満ち、タッチの一粒、一粒が、その音色の一つ一つの変化が分かるまでに明瞭(めいりょう)です。
 このベートーヴェンもその1枚で、バックハウスの渋みを持った美しいソロ・ピアノ(ベーゼンドルファー)を中心に、その背景に、シルキーでしかも厚みのある弦楽パート、香ばしい輝きを放つ金管、ウィンナ・オーボエやクラリネットなど個性的な響きを披露する木管などをくっきりと立体的に再現し、録音後、ほぼ半世紀を経た現在も、その鮮明なサウンドの魅力は色あせていません。
 この曲をフィジカルに熟知しているウィーン・フィルとバックハウスのあいだには一部の隙もなく、80歳を超えた大家が、シュミット=イッセルシュテット/ウィーン・フィルによる極上のバックを得て、堅固に構築された様式感をもって堂々たるピアノをきかせている。出来上がった演奏は豊かな風格を持ち、細部に至るまですべての要素がよく手の内に入っている。押し出しよく、伝統的な要素にも配慮が行き届き、間然とするところがない。まさに当協奏曲の大作の『金看板(盤)』と称してもおかしくないような存在感で、発売以来一度たりともカタログから消えたことのない、まさにエヴァーグリン的な名盤と称せましょう。

レコードのカバー、レーベル写真

JP LON SLC1232 バックハウス・イッセルシュテット・ウィ…
JP LON SLC1232 バックハウス・イッセルシュテット・ウィ…
 本盤も第二次大戦の混乱期に乗じて格安で敗戦国隣国オーストリアの財宝ウィーンフィルを制圧した英デッカ社の戦勝品とも云える盤。英デッカ社はウィーン・フィル単体のセッションだけでなく、独奏者を仕立ててウィーン・フィルをバックにした数多くの協奏曲も制作した。鍵盤の獅子王と異名をとる日本でとりわけ人気の高いピアニスト、バックハウスによるベートーベンも高名なマエストロ用意してセッションを組んだ一例。バックハウスの全盛期最後とも言える1950年代後半の演奏。

ヴィンテージレコードのディテール

プロダクト

Beethoven, Backhaus, Vienna Philharmonic Orchestra, Hans Schmidt-Isserstedt ‎– "Emperor" Concerto
レコード番号
SLC1232
作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
演奏者
ヴィルヘルム・バックハウス
オーケストラ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
ハンス・シュミット=イッセルシュテット
録音種別
STEREO
製盤国
JP(日本)盤
LONDON 最初期 FFSS SLC1***盤, STEREO FLAT 1枚組 (180g) 重量盤, Release 1963, Stamper 輸入メタル使用盤ZAL-4597|8 2E/2E 最初期スタンパー。

ヴィルヘルム・バックハウス( Wilhelm Backhaus )は1884年3月26日、ドイツのライプツィヒ生まれのピアニスト。1969年7月5日フィラッハにて没。10歳で地元の音楽院に入り、1899年フランクフルトでダルベールに師事。16歳からプロとして活動を始め、17歳のときニキシュに招かれライプツィヒ・ゲヴァントハウス管でデビューする。1905年にはA・ルビンシテイン記念のピアノ・コンクールに優勝(このときの第2位がバルトーク)。後年演奏はほとんどドイツ音楽に絞り込み、偉大なベートーヴェン弾きとして、ドイツ音楽の伝統を継承した。
ハンス・シュミット=イッセルシュテット( Hans Schmidt-Isserstedt )は1900年5月5日、ベルリン生まれの指揮者。1973年5月28日、ホルム・ホルシュタインにて没。ベルリン大学で作曲と音楽学を学び、ドイツ各地の歌劇場を経て、1935年にハンブルク国立歌劇場の首席指揮者となる。1942年ベルリン国立歌劇場音楽監督、1945年北西ドイツ放送交響楽団首席指揮者、1955年ストックホルム・フィル常任指揮者などを歴任。モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスなどのドイツ音楽の正統的な指揮者として、その重厚な音楽作りには定評があった。また、バルトーク、ヒンデミット、ストラヴィンスキーといった20世紀の作品の演奏にも熱心に取り組んだ。
 レコードのステレオ録音は、英国 DECCA が先頭を走っていた。英 DECCA は、1941年頃に開発した高音質録音 ffrr の技術を用いて、1945年には高音質 SPレコードを、1949年には高音質 LPレコードを発表した。その高音質の素晴らしさはあっという間に、オーディオ・マニアや音楽愛好家を虜にしてしまった。ステレオ録音黎明期(れいめいき)1958年から、FFSS(Full Frequency Stereo Sound)と呼ばれる先進技術を武器に、数多くの優秀なステレオ録音のレコードを発売し、アナログ盤時代の高音質録音の代名詞的存在として「ステレオはロンドン」というイメージを決定づけ君臨しつづけた。1958年より始まったステレオ・レコードのカッティングは、世界初のハーフ・スピードカッティング。 この技術は1968年ノイマンSX-68を導入するまで続けられた。

最近のワイドレンジだけれどもどこか薄い音とは違う…

 その真相はニール・ヤングによる今のアナログ・レコードへのダメ出しが分かりやすい。
 現在はCD音源、ハイレゾ音源、デジタル・ストリーミング音源と音質も方式も様々だが、アナログ・レコードもアメリカのアンティークショップから発売されるものを中心にブームになっている。
自身もストリーミング会社を起こしたニール・ヤングがアナログ・レコードに対して物申した。
現在のアナログ・レコードはCDマスター音源から作られておりCDを超える音質となっていないそうだ。そして、これはデジタルよりもアナログが優位だとは言ってはいない。
 SACD で日常的に聴いているとワイドレンジにゆとりがあることが感じられる。デジタル録音はアナログ・マイクで拾った音をデジタル化される。CD用のマスター音源は、これにイコールではない。市販されているCDは規格が定められていて容量に制限が有る。
低い音、高い音(正確には周波数帯だが)をCDに入れられる範囲にカットされている音を聞いている。
一方、その昔のアナログ・レコードはアナログで録音され、その音源からレコードを製作していたので全ての拾える限りの音を捉えていました。ただプレス時の条件で個体差があるし、再生を重ねた時の摩耗、そして40年、50年もたった当時のレコード盤に使用されたマテリアルの経年劣化など、レコード盤の物理的な限界はあるとしてもね。
 デジタルは経年劣化や摩耗による低音の破壊は起こらない。ハイレゾ音源とは、デジタル録音した時にカットしていない音質を保ったままデジタル化した音源だ。(アナログは60分の音楽は60分分の録音テープが必要ですが、デジタルでは一様ではない。だから一概には定められないが、現在の市販CDにハイレゾ音源のそのままを入れると10分ぐらいの再生しかできないので商売に成り立たない。)マーティ・フリードマンもタモリ倶楽部で空耳アワード2015の回の時に音楽はベースラインが心地よいのに、「パソコンで音楽聞くと悲しくなります。ベースが聞こえないじゃないですか」って嘆いていましたね。


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via Amadeusclassics

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