スキップしてメイン コンテンツに移動

イエス・キリスト教会の残響もあってことさらに弦が美しい◉カラヤン指揮ベルリン・フィル ブルックナー:交響曲9番

通販レコードのご案内カラヤンによるドイツ・オーストリアの伝統 ― カラヤンらしい流麗で起伏に富んだ名演、第3楽章は魅力的です。

DE DGG SLPM139 011 カラヤン ブルックナー:交響曲9番
DE DGG SLPM139 011
(指揮)ヘルベルト・フォン・カラヤン
(管弦楽)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(曲目)ブルックナー:交響曲9番

1970年代に行われたカラヤン&ベルリン・フィルのブルックナー交響曲全集よりも10年ほど前に録音された第9番。伝説の1966年来日コンサートで演奏したブルックナー8番が日本のファンに喝采を浴びることになりますが、その直前の録音。イエス・キリスト教会の残響もあってことさらに弦が美しく、カラヤンらしい流麗で起伏に富んだ名演です。


カラヤンの録音で一番充実しているのは1970年代後半から80年代前半の録音。再録音の多いチャイコフスキー、ドヴォルザーク、ベートーヴェンと1970年代の演奏は緊張感が違うと思う。朴訥なブルックナーでさえイメージを覆すようなアプローチで、それでいてブルックナー演奏としての説得力にも欠けていない。


カラヤンはブルックナー交響曲の全集録音をグラモフォンで1960年代、70年代、80年代にわたり行っていますが、このブルックナーの《交響曲第9番》はカラヤンとベルリン・フィルの黄金時代の録音として、1970年代半ばに収録された評価の高い強烈なブルックナー全集よりも10年ほど前に録音されていたものです。しかも、これに先立つ約二年前にベルリン・フィルとブルックナー第9番を同じドイツ・グラモフォンにヨッフムが録音しているので、リリース規約のあった当時にあっては異例の企画でしょう。


ジャガイモもカラヤン・シェフの腕でゴージャズでスタイリッシュに変わる。だからといって、ジャガイモ本来の味わいは少しも損なわれていない。繊細さとド迫力。予定調和型の何もないどっしり演奏ではない。これが他の指揮者ではなかなか見られない、自分の信じる流儀を貫くカラヤン流の美学だ。


この録音はブルックナー最後の交響曲を特別に神聖視している風でもなく、後期ロマン派の作品として普通に演奏しているような印象です。第1楽章は滝が流れ落ちるカラヤンらしい流麗で起伏に飛んだ演奏で、悠然としたブルックナー像ではありません。しかし、ヨッフムのブルックナーも多少ともそういう傾向があったはずです。レコード会社が異例を通したポイントはなんだろう。日本公演の直後に行われたヨーロッパツアーから名ホールアムステルダム・コンセルトヘボウで行われた凄絶なライヴがCD発売されもして、伝説の1966年来日コンサートで演奏したブルックナー・交響曲第8番が日本のファンに喝采を浴びることになりますが、その直前の録音。極めてスタイリッシュかつパワフルで録音も素晴らしく、オーディオ的観点からも胸のすく音の洪水。本録音はカラヤンの何時もの重厚感がたまらなく良いし、豪華絢爛なベルリン・フィルも健在。第3楽章は魅力的です。記憶に残るカラヤンのイメージが最も具現化された演奏だ。


この録音はブルックナー最後の交響曲を特別に神聖視している風でもなく、あくまでもドイツ・ロマン派シンフォニーの傑作として捉えたアプローチと、ベルリン・フィルの重厚華麗なサウンドが相まったその聴き応えには、脱帽するほかありません。全三楽章の音楽として仕掛けをする様子も見せず、未完成に終わった作品という現実をありのままに実感させられてしまいます。


他の指揮者に比べて売れた枚数が圧倒的に多いためプレミアムこそ付かないものの、一家に一枚置いておくべきレコード。カラヤン&ベルリン・フィルが確立した「スタイル」を存分に発揮した、オーケストラ音楽とはこうあるべきというカラヤンの信念がビシビシ伝わってくるゴージャスきわまりない演奏です。

1966年3月ベルリン、イエス・キリスト教会での録音。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

レコード番号
SLPM139 011
作曲家
アントン・ブルックナー
オーケストラ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
ヘルベルト・フォン・カラヤン
録音種別
STEREO

販売レコードのカバー、レーベル写真

  • DE DGG SLPM139 011 カラヤン ブルックナー:交響曲…
  • DE DGG SLPM139 011 カラヤン ブルックナー:交響曲…

コンディション

ジャケット状態
M-
レコード状態
EX++
製盤国
DE(ドイツ)盤
BLUE LINE, STEREO 1枚組 (120g)

レーベル・ガイド

ブルーラインレーベル》黄色地に黒文字、外周が青の二重線で囲まれたものです。通称、BLUE LINEと呼ばれています。2530 etc. で始まります。このラベルにも2種類あり、最初の頃のものはラベル周囲の文字が詰めて印字( GY8 )してあり、後期のものは文字間隔が空けて( GY9 )印字されています。

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。
  • オーダー番号34-25290
  • 販売価格2,750円(税込)

http://img01.ti-da.net/usr/a/m/a/amadeusrecord/34-25290.jpg
December 28, 2023 at 05:00AM from アナログレコードの魅力✪昭和の名盤レコードコンサートでご体験ください http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1177446.html
via Amadeusclassics

コメント

このブログの人気の投稿

優秀録音*優美な旋律と柔和な表現が忘れがたい ポリーニ、ベーム指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第4番

通販レコードのご案内  華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう。 《独ブルーライン盤》DE DGG 2530 791 ポリーニ&ベーム ベートーヴェン・ピアノ協奏曲4番  当時ベームの最もお気に入りだったピアニスト、ポリーニとの共演です。全集が計画されていたようですが、1981年にベームが他界、第1、2番を替わりにオイゲン・ヨッフムが振って変則的なカタチで完成しました。  録音はギュンター・ヘルマンス。ポリーニの精巧なタッチが怜悧れいりに録られています。録音としては極上ですが、しかし、演奏としては、この4番は物足りない。ベームはバックハウスとの火花を散らした録音があるし、ポリーニは15年後にアバドとの全集があるので全集が完成しなかったことは残念とは思えませんね。  ベートーヴェンが36歳時に完成したビアノ協奏曲第4番をポリーニが録音したのは34歳の時。第1楽章後半のベートーヴェン自身によるカデンツァを始め、華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう程のポリーニの若さの発露が優っている。ステレオ録音。 1976年6月録音。優秀録音盤。ギュンター・ヘルマンスの録音。 http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-19239.jpg June 27, 2019 at 09:15AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1065647.html via Amadeusclassics

歴史とジャズと竹あかり ― 映画上映、朗読劇とジャズ演奏で「四時軒の夕べ」を楽しみませんか

四時軒の夕べ 〜歴史とジャズと竹あかり 無料 開催日 2024年10月27日(日) 16:00〜17:10 映画上映 17:10〜17:30 「四賢婦人」朗読劇 17:30〜18:10 横井小楠記念館館長のお話 18:10〜18:30 ライトアップ点灯式 18:20〜20:00 ジャズ演奏(コントラバス、ピアノ、ドラム) 会場 四時軒 (熊本市東区沼山津1-25-91) 対象 どなたでも(申込不要・直接会場へ) 参加費 無料 主催 横井小楠顕正会 協力 熊本市都市デザイン課・秋津まちづくりセンター http://img01.ti-da.net/usr/a/m/a/amadeusrecord/Yokoi-Shohnan_gqR.jpg October 04, 2024 at 03:00AM from アナログレコードの魅力✪昭和の名盤レコードコンサートでご体験ください http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1194695.html via Amadeusclassics

名曲名盤縁起 プラター公園に訪れた、花満開の春を喜ぶ歌 シュトルツ〜歌曲《プラターに再び花は咲いて》

ウィンナ・ワルツの名指揮者シュトルツ没 ― 1975年6月27日  ウィーンという町には1年365日、朝から夜中まで音楽が鳴り響いている。夜中であったにもかかわらず、シュテファン大聖堂の建物そのものから厳かな宗教音楽が聴こえてくるのを味わうことも出来るほど、教会でのレコード録音は深夜を徹して行われている。  ウィーン音楽の王様はシュトラウス・ファミリーだが、20世気に入ってからのウィーンの楽壇で、指揮者・作曲家として大活躍したロベルト・シュトルツの音楽も、ウィーン情緒を満喫させてくれる。オペレッタやワルツに大ヒットがあるが、今日の命日には、100曲を超すという民謡風の歌曲から、ウィーンっ子がみなうたった《プラターに再び花は咲いて》を聴こう。映画「第三の男」で有名になった大観覧車のあるプラター公園の春を讃えた歌で、「プラター公園は花ざかり」というタイトルでも呼ばれている。 通販レコードのご案内  DE DECCA SBA25 046-D/1-4 ロベルト・シュトルツ レハール・メリー・ウィドウ/ジュディッタ  シュトルツにとっては、ヨハン・シュトラウスの作品をオリジナルな形でレコードに入れて後世に遺すことこそ、指揮者としての活動の頂点であることを意味すると云っていたのを読んだ事が有ります。ウィーンは音楽の都で数々の彫像や記念碑や街の通りにシューベルト、ブラームス、モーツアルト、ヨハン・シュトラウスといった大作曲家の彫刻が有ります。いずれも、生まれながらの(あるいはあとから住みついた)ウィーン市民でした。  作曲家であり指揮者であり、無冠のワルツ王の最後の人であるロベルト・シュトルツも、ウィーン音楽の生き字引としてこうしたカテゴリーに入るのではないか。1887年に天才少年ピアニストとして初めてヨーロッパを旅行してから今日に至るまで、ロベルト・シュトルツはその人生を音楽にささげてきたのである。その間には2,000曲の歌、50のオペレッタ、100にのぼる映画音楽を作曲し、数百回のレコーディングを行っているという。本盤もそうした中のセット。皆様をウィーンに誘う魅力タップリです。 ウィンナ・ワルツの伝統を保持する最後の指揮者  ウィーン・オペレッタ最末期の作曲家の一人として『春のパレード』などの作品を発表し人気を得たロベルト・シュトルツは、指揮者でオペレッ