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鍵盤上のヴァルキューレ★モニク・ド・ラ・ブリュショルリ モーツァルト・ピアノ協奏曲20番、23番

通販レコードのご案内 伝説のピアニスト・ブリュショルリの名高い名演。

DE eurodisc 62 318 モニク・ド・ラ・ブリュショルリ モーツァルト・ピアノ協奏曲20番/23番《独ゴールド・ラベル黒文字盤》DE EURODISC 62 318 モニク・ド・ラ・ブリュショルリ モーツァルト・ピアノ協奏曲20番/23番 往年のフランスの名手、モニク・ドゥ・ラ・ブリュショルリは、残された商業録音が少なかったこと。その圧倒的なピアニズムで1960年代にヨーロッパ楽壇で一世を風靡した存在でしたが、1966年12月18日、ルーマニアでの楽旅の移動中に交通事故に遭い、51歳で引退したことから幻の名ピアニストとして生前から伝説的存在だった。
 幼くして目覚しい楽才を発揮し、1930年代後半から精力的に活躍、大変な人気を誇った存在でしたが、レコード録音を移動先で思いのままに出来た演奏家は ― カルーソー、ワンダ・ランドフスカ、ロッテ・レーマン ― 限られていた。ナチス・ドイツのパリ占領中の1943年5月14日に、アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団と共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が、最初のSP録音となったのですが発売を差し止められます。この頃、パリに軟禁状態にあったフランスの名手たちはベートーヴェンやモーツァルトなど独墺系の作品に素晴らしい演奏を示すことで、自国民を励ますとともに暗にナチスへのレジスタンスの意思を示しました。
 ベートーヴェンやモーツァルトは独墺だけのものでなく、世界共有の芸術遺産との考え方からです。しかも両者ともフランス革命から思想的に大きな影響を受けた作曲家でもありました。ジャック・ティボーはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番やヴァイオリン・ソナタを録音、マルグリット・ロンはベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》を録音、発売しました。ティボーとロンがナチス占領下の1943年にロン=ティボー・コンクールを創設したのも、フランスの芸術文化の素晴らしさを示すことで、若手アーティストや自国民を励ますためでした。ブルショルリとクリュイタンスも、思いは同じだったと思われます。
彼女はヴァルキューレとなり、グランド・ピアノは軍馬となり、いまオクターヴ征討の戦いに進発する
(ヨアヒム・カイザー著、吉田仙太郎訳『現代の名ピアニスト』白水社刊)

 彼女の商業録音はLP初期の米VOXやオイロディスクのものが有名で、その名声に比して録音量は決して多いと言えず、ヨアヒム・カイザーの賛辞も今一つ実感されない嫌いがありました。
 モーツァルトは`若き女神`と称されたブリュショルリの、「ウィーンの笛時計」賞を受賞した名演中の名演としてアナログ時代に愛好されたもの。パウムガルトナー指揮のオーケストラとともにおおらかで瑞々しく湧き出るような音楽の喜びに溢れてる作品。思入れを込め過ぎずに、端正に弾きこなす、それでいて深みのある抒情性と高い格調を兼ね備えている、そうした演奏です。一音一音が明晰で、打鍵がしっかりしていて、繊細な表現力もありますので、言うならば『人生の深淵さ』を感じさせるような響きです。
 第20番 K.466では優しさと激しさの絶妙なバランス、第23番 K.488の幸福感と寂寥感をにじませた演奏も心憎い。パウムガルトナーの伴奏もソロに寄り添った慈愛に満ちたもので素晴らしい。ハスキルやリリー・クラウスも名演奏に違いありませんが、ブリュショルリの演奏は特に自然体で暖かく、しかも得も言われぬ雰囲気があって素敵です。20番はやはりハスキルの響きに魅力を感じるが、23番は底抜けなオーケストラの響きが曲にあっている。その明るい大雑把な響きに、活を入れ込むようなブリュショルリのピアノがびしびし決まりスカッとしたテンポで流れるのもいいもんだと思った。モーツァルトの光と影、優しさと激しさを見事に表現したブリュショルリのかけがえのない名演。あなたはどう感想を持つのでしょうか。
 ブリュショルリに興味がある人はもちろん、広くピアノを愛する人に聞いてほしいレコードです。
録音:1961年3月10~12日、ザルツブルク

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via Amadeusclassics

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