スキップしてメイン コンテンツに移動

「威風堂々」だけでなく艶めかしい名曲もある★カンポーリ、ボールト指揮ロンドン響☆エルガー・ヴァイオリン協奏曲

クライスラーが演奏するのを念頭にエルガーが作曲した至極高潔な、このヴァイオリン協奏曲を些かも演奏に押し付けがましさが微塵もなく、明るくサラリとカンポーリは仕上げている。

通販レコードのご案内《英国プレスのモノラル・フラット初出盤》GB LONDON LL1168 カンポーリ&ボールト エルガー・ヴァイオリン協奏曲

その凄さが、これみよがしになっていないのが心憎い。歌うようなヴァイオリンの音色という形容は、これこそ肉声の歌声を聴いているようなカンポーリの録音にこそ言える至福の一枚。
 そしてまた、楽譜に書かれた音符から読み取った教官に忠実に、楽器が放つ音に色彩や音量の変化を綿密に施していくカンポーリの音楽性は、トルソーの少女像が甘美な官能的なものに変化していく様な艶めかしさも感じられて脱帽もの。
  • 類まれな技巧を駆使して豊かな情感が表現されるが、その情感にはあくまで上品で繊細な響きの持ち主、アルフレツド・カンポーリ。名前からして純粋なイタリア人と思えるが、活躍の場は女王陛下の国英国。バッハもモーツァルトもベートーヴェンもイタリアのやり方を見習い、その手法で自分の音楽を書きましたが、カンポーリは祖国イタリアを、異国の地、英国で DECCA の力を借り、国際スタンダードにした立役者と云ったところか。
  • GB LON LL1168 カンポーリ&ボールト エルガー・ヴァイオリン協奏曲
カンポーリのバイオリンは官能的なまでに甘美でありながら、ぴんと張りつめるような緊張感を保って伸びやかに歌っている。イタリア人という彼の中のラテン的な明るさとストラディヴァリスの豊穣な音色が相まって、 ゆっくりとした時間の流れに身を委ねることが出来ます。
1954年10月28〜29日、キングスウェイ・ホールでの録音。

 《英国でもっとも有名な作曲家〜エルガーの渋いヴァイオリン協奏曲は大人の味》 ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、シベリウス、ブルッフなどと有名コンチェルト七大としたい。しかし、この曲は曲への深い共感と、自然な息づかいで精神的な余裕が感じられる演奏である必要がある。そこが課題だが、平然と演奏できるようになるには、作曲の背景にある《とある人類が引き起こした悲しい歴史》の生々しい記憶が遠いものと成ってからのことかもしれないが。
 大英帝国を誇っていたイギリスは、クラシックの黄金期といえる18、19世紀には、欧州中から流行の最先端の作曲家を招き入れることに夢中で、自国の作曲家の排出には不毛の時代でした。20世紀近くになって、ようやくこのエルガー卿が登場します。エルガーというと、「威風堂々Pomp and Circumstance Marches」で日本人にもよく知られています。あのメロディこそは、「紳士の国イギリス」というフレーズを日本人にもっとも強く意識させるものではないでしょうか。
 エルガーは片田舎出身の音楽教師から、英国作曲家界をリードするまで出世します。レコード録音にも積極的で、国内各地の音楽フェスティバルを移動ラジオカーで中継放送することにも私財を投じて、イギリス国内中で自国の流行音楽を楽しめるようにしたのです。エルガーの協奏曲作品はヴァイオリンとチェロのための協奏曲が1曲ずつ。ヴァイオリン協奏曲が1910年、チェロ協奏曲が1918年とともに20世紀の作品です。バルトークの遺構としてのちに発見されたヴァイオリン協奏曲はのちに第1番とされました。この作品は1907~08年の作品です。プロコフィエフの第1協奏曲が1916~17年、20世紀を代表するベルクの作品が1937年でした。イギリスの作曲界の遅れてきた事情により、すでに表現主義の時代にあってロマン的な作風の作品です。
 それが故か、英国民が彼の音楽に親しみを抱くのは難しくないものですが、グローバルになりきれないところです。ヴァイオリン協奏曲としては50分に迫るという長大は、独奏者に求められるものも大きく、技術のほか体力も要するものです。この曲は世界の数あるヴァイオリン協奏曲の中でも最大級の規模なので、ベートーヴェン、ブラームス、シベリウスと比べても、なかなか演奏の機会に恵まれません。ハイフェッツ、メニューインの録音で当時のレコード会社は名曲の仲間入りをトライしますが、クライスラーが演奏するのを念頭にエルガーが作曲した至極高潔な、このヴァイオリン協奏曲は曲者なのかもしれません。献呈を受けたクライスラーは、「不滅の作品を生み出した」ことを称賛しましたが録音は残していません。
 イギリスが生んだ大指揮者で、ホルストの『惑星』の非公式初演、ヴォーン=ウィリアムズの田園交響曲や交響曲第4番の初演を任された人物として知られているサー・エイドリアン・ボールトの指揮は作品への共感から成り、作品の大きな構築の中の抒情を拾い出します。作品の大きさにあわせて、スケールも大きい。女王陛下の国英国で活躍したカンポーリは、この大きな構えの音楽と支えにのり、叙情豊かなこの協奏曲の美質を紡いでいきます。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

レコード番号
LL1168
作曲家
エドワード・エルガー
演奏者
アルフレッド・カンポーリ
オーケストラ
ロンドン交響楽団
指揮者
エイドリアン・ボールト
録音種別
MONO

販売レコードのカバー、レーベル写真

GB LON LL1168 カンポーリ&ボールト エルガー・ヴァイオ…
GB LON LL1168 カンポーリ&ボールト エルガー・ヴァイオ…

RED WITH GOLD LETTERING, MONO FLAT 1枚組(190g), Stamper 2A/1A。

優秀録音、コレクションアイテム

英国 DECCA ffrr の名盤 LXT5014のLONDONレーベル盤です。
音場型のステレオ盤に比べてモノラルは音像型。総じてモノラル盤の音質はステレオ盤より中低音域が厚く、コシがあるので同じ演奏のステレオ盤より明らかに好ましいものも少なくない良い音です。また、こうしたモノラル盤は単にモノーラルになっているだけではなく、ステレオ盤とは別にセッション録音したのがあります。
 モノーラル盤はステレオ盤より力感があり、そこはブルーノートのモノラル盤と共通していますが奥行きでオーケストラの存在感を出している点で、わたしはオレンジラベル盤が好きです。

コンディション

ジャケット状態
EX
レコード状態
M-
製盤国
GB(イギリス)盤

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。











 
オーダーは 品番 / 34-27417
販売価格 6,600円(税込)
「クレジットカード決済」「銀行振込」「代金引換」に対応しております。

CDはアマゾンで

Milestones of a Legend
美音で名を馳せたヴァイオリニストですが、瑞々しい迫力ある音色は異名に嘘のない素晴らしさ。カンポリの親しみやすい演奏は、懐かしさを感じさせ感動的、ずっと聴いていても飽きません。


http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-27417.jpg
May 31, 2022 at 03:30AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1163759.html
via Amadeusclassics

コメント

このブログの人気の投稿

♪東側の最高傑作◉フランツ・コンヴィチュニー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 ベートーヴェン・交響曲7番

楽譜に対して客観的に誠実に取り組んで、ゆったり目のテンポでスケール大きく描きあげられた演奏と存在感あるゲヴァントハウスの音色 《独ブラック銀文字盤》DE ETERNA 825 416 コンヴィチュニー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 ベートーヴェン・交響曲7番 旧東ドイツ時代のベートーヴェン演奏の精髄として当時大きな話題となった全集からの一枚。ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターを終生務めたコンヴィチュニーの最高傑作で、重心の低い質実剛健な演奏は今もってひとつの基準となる名演と言えます。 序奏からズドンとヘビィ級の音塊をぶつけてきます。 ― しかし野暮ったくはない。序奏が終わっても、一切慌てず騒がず。この辺、フランツ・コンヴィチュニーならではの堂々とした音楽作りが堪能できます。 言うまでもないことですがベートーヴェンが250年前に作ったスコアを録音が発明された20世紀から以降の、120年間ほどの演奏を私たちは聞き返している。名指揮者パウル・ファン・ケンペンが死去した後、志鳥栄八郎が「あれほど騒がれていた彼が、いまそうでなくなった。演奏家というのは死んだらおしまいだ」と言っていた。とはいえ名演奏家が死後、レコードで聴き継がれるケースも有る。 どんなに録音技術が進んでも、それは生の姿を十全には伝え得ないが、演奏家の音をいたずらに増幅・美化させることも出来てしまうのが録音技術でもある。ドイツの伝統を継承する巨匠コンヴィチュニーのベートーヴェンは、彼の至芸を愛でる者にとっては格別のレコードです。 聞き手の耳をさっと捕まえてしまうような魅力には乏しいかもしれません。聞き手の耳をすぐに虜にするような愛想の良さや声高な主張もありません。まず、すぐに気がつくのは、今ではなかなか聞くことのできなくなったふくよかで暖かみのあるオーケストラの響きの素晴らしさです。きらきらした華やかさとは正反対の厚みのある響きです。弦もいいですが、特に木管群の響きが魅力的です。確かに、昨今のオーケストラと比べれば機能的とは言えないのでしょうが内部の見通しも良く透明感も失っていません。とは言え、コンヴィチュニーの基本は「淡麗辛口」です。 ドンと構えていて、ここぞというところではぐっと力こぶが入る「野蛮さ」みたいなモノが残っている演奏。隅々まで指揮者の指示が行き届...

芳香に充ちている★ティボール・ヴァルガ モーツァルト ヴァイオリン協奏曲5番 スメタナ ピアノ三重奏曲

通販レコードのご案内 ライブですが録音頗る良好です。 《フェスティバル盤》CH FESTIVAL TIBOR VARGA SION ティボール・ヴァルガ モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲  ハンガリー出身の名ヴァイオリニスト、ティボール・ヴァルガが自身のオーケストラと共に録音した珠玉のモーツァルトです。このアルバムでは、ヴァイオリン独奏、そして指揮にと大活躍。生き生きとした演奏を繰り広げています。  音楽に身を捧げたとされる名匠、ヴァルガの端整なヴァイオリン演奏は、現在でも前置きなしに、そのまま通用するほどのものだ。1976年スイス・シオンで開催されたティボール・ヴァルガ音楽祭実況録音。ライブですが録音頗る良好です。楽器のヴィヴィッドな響きに驚く。古き良き時代を感じさせる優雅な演奏は近年の演奏が失った芳香に充ちている。この素晴らしいヴァイオリニストの残した遺産を、楽しもうではないですか。 《 FESTIVAL TIBOR VARGA SION 》1967年からスイスのヴァレー州シオン市で開催されている、ティボール・ヴァルガ シオン国際ヴァイオリンコンクールは、比類ない演奏と後進の指導で知られる、シュロモ・ミンツが芸術監督を務め、若い才能の発掘と育成で定評がある、若手ヴァイオリニストのための国際コンクールです。シオン・ヴァレー州音楽祭の期間中に行われ、その中心イベントとして注目を集めています。過去には、前橋汀子やジャン・ジャック・カントロフなど、現在の名ヴァイオリニストが受賞。 通販レコード詳細・コンディション、価格 プロダクト レコード番号 番号なし 作曲家 ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト 演奏者 ティボール・ヴァルガ 録音種別 STEREO 販売レコードのカバー、レーベル写真 コンディション ジャケット状態 M- レコード状態 EX++ 製盤国 CH(スイス)盤 通販レコード 詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。 オーダー番号 34-22740 販売価格 3,300円 (税込) 「クレジットカード決済」「銀行振込」「代金引換」に対応しております。 http://img01.ti-da.net/usr/a/m/a/amadeusrecord/34-2274...

10月17〜23日は229記事を新規投稿しました。

2022.10.17-23 クラシック音楽365日 大作曲家の生没日。名曲のゆかりの日。 10/17 作曲家・ショパンが生まれた日( 1810 年)。ポーランドで生まれるも、 21 歳でパリへ亡命し 39 歳で亡くなるまでパリで過ごした。同時代の作曲家はシューマン、リスト、ベルリオーズらである。現代でも、《夜想曲第 20 番 嬰ハ短調(遺作)》など、ピアノ作品を中心に、その演奏機会はとても多い。 2005 年の第 15 回コンクール以降はインターネットで映像がリアルタイム配信されている。 2020 年に開催予定だった第 18 回は、新型コロナウイルスの影響で翌 2021 年 10 月に延期された。 10/18 フランスの作曲家、シャルル・グノーが没した日(1893年)。ゲーテの戯曲を元にしたオペラ《ファウスト》や、歌曲《アヴェ・マリア》でも知られる。グノーがオルガニストを務めていたサン・トゥスタッシュ教会には、画家のルノワールも所属していた。グノーはルノワールの歌手としての才能を見出し、両親にルノワールをオペラ座の合唱団に入れることを提案したが、断られたという逸話も残っている。 10/19 ワーグナーのオペラ「タンホイザー」がドレスデン歌劇場で初演された(1845年)。ワーグナー32歳の頃の初期の作品であり、のちの総合芸術としての「楽劇」が生まれる前の作品である。当時初演は失敗に終わり、その後「タンホイザー」は何度も改定が加えられることになった。 10/20 アメリカの作曲家、チャールズ・アイヴズが生まれた日(1874年)。今では交響曲など、ヨーロッパをはじめ広く世界で演奏される。その経歴はユニークで、本業は保険会社の副社長。作曲は「趣味」で続けいたものの、マーラーやシェーベルクにも才能を認められ、晩年になってから注目を集めるよに。作品は実験精神に富みながらも郷土色の豊かな旋律を併せ持つ。 10/21 オーストリアのワルツ王ヨハン・シュトラウス2世作曲の《皇帝円舞曲》が、ベルリンのケーニヒツバウという新しいコンサートホールのこけら落としのために初演された日(1889年)。作曲者自身の指揮で行われた。 10/22 スペイン・カタロニア地方に生まれた今世紀最高のチェリストと呼ばれている、パブロ・...