通販レコードのご案内駆け抜けるように生きた〝古楽の申し子〟マンロウの遺産 ― リラックスした演奏ぶりが居心地良い
(演奏者)デイヴィッド・マンロウ指揮ロンドン古楽コンソート、クリストファー・ホグウッド(オルガン)
(曲目)ギヨーム・デュファイ メサ:ス・ラ・ファス・エ・パル
音楽評論家の皆川達夫が常に絶賛していたデイヴィッド・マンロウ。デュファイのミサ「ス・ラ・ファス・エ・パル」と題した本盤は、冒頭にシャンソン「ス・ラ・ファス・エ・パル」の演奏があり、そのあとオルガンによる演奏、合奏による演奏と続き、ミサを最後に持っていくという構成。ルネサンス初期の大家デュファイの、世俗歌を共通素材にした技法によるミサ曲を、その元歌とあわせて、多彩な響きとヴィヴィッドに起伏する息づかいで古色払拭。今なお清新たおやかだ。この曲に関しては、現在の所この演奏と比較できる録音が無い。
ギョーム・ド・マショーが通作ミサを作曲した14世紀以来、ミサ曲は作曲家にとって主要なジャンルとなっていきました。その中で、作曲家たちはミサ曲の各楽章を統一した音楽技法で作曲するようになっていきます。デュファイは、ルネサンス期を通じて音楽をリードし続けたフランドル楽派の初期を代表する音楽家であると同時に、15世紀最大の音楽家のひとり。各楽章がひとつの音楽的素材で関連づけられたミサ曲を「循環ミサ」と言いますが、15世紀の前半に始まったこの技法は、デュファイによって一応の完成を見ることになります。「スラ・ファス・エ・パル」は、デュファイ自身が作曲した同名のシャンソンの旋律を使って作曲されたものです。世俗音楽を素材に使いながらも、デュファイの音楽はあくまで高貴でメランコリックに鳴り響き、優雅な祈りの音楽を作り出しています。
訳せば『ミサ、もしも私の顔が青いなら』。デュファイは自作のシャンソン、それも恋歌「もしわたしの顔が青いなら、それは恋のせい」をミサ曲にしてしまったのだ。これはなにも、教会音楽として不自然だということでは全然ない。これは教会音楽だけれど、彼はある意味で、そんなことを超越したところでやっている初期フランドル楽派の名曲。オリジナルのシャンソンは素朴な歌だが、デュファイは半音階進行その他をこの歌をヒントにしてミサに持ち込んだ。そのハーモニーの素晴らしさのみならず、マンロウのリラックスした演奏ぶりが居心地良い。バロックより遥か以前、西洋芸術音楽の草創期の音楽を現代の耳によみがえらせた立役者マンロウの代表的録音の一つ。ミサ曲と同時に、原曲のシャンソンとオルガン編曲2曲、4声部の器楽合奏用編曲と様々な演奏形態で演奏されているのも特徴で、曲それぞれに響きを変え、同時にどちらも、節度ある規範をもってマンロウ独自の楽曲に対する深い洞察力が充分に発揮されています。
イギリスにブロックフレーテをこよなく愛する少年がいた。彼は師事した教授の研究室で、ふと「クルムホルン」というステッキ型の笛を見つけ、彼曰く「古楽器にはまり」、仲間を集めて古い音楽を演奏するようになった。1976年5月15日に、34歳で〝不可解な死〟を遂げた古楽器の天才デイヴィッド・マンロウと、彼が組織したロンドン古楽コンソートは、現在の〝古楽ブーム〟の先駆けになった名コンビである。
古楽は、12世紀からバッハ以前、中世・ルネサンスの音楽を指し、現在すっかり広まった古楽器は「オリジナル楽器」「ピリオド楽器」と呼ばれる。とても古い音楽を、曲が書かれた当時の楽器 ― または、そのコピーで演奏するのが本分。もしモーツァルトやベートーヴェンの交響曲をオリジナル楽器の演奏で聴いて面白いと思ったら、マンロウが録音したアルバムの代表作『ゴシック期の音楽』の1曲だけでも耳を傾けていただきたい。これで古楽にはまった人は数多い。
通販レコード詳細・コンディション、価格
プロダクト
- レコード番号
- C069-05541
- 作曲家
- ギヨーム・デュファイ
- オーケストラ
- ロンドン古楽コンソート
- 指揮者
- デイヴィッド・マンロウ
- 録音種別
- STEREO
コンディション
- ジャケット状態
- M-
- レコード状態
- EX
- 製盤国
- FR(フランス)盤
http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-11736.jpg
January 29, 2022 at 03:15PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1147348.html
via Amadeusclassics
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