スキップしてメイン コンテンツに移動

♪歴史的な教会に鳴り響く敬虔の響き ― アンドレ・クリュイタンス最高の名盤。フォーレの《レクイエム》

残響の非常に多い教会の空間において、ロマンティックに歌われるレクイエムは、フルトヴェングラーの演奏だと偽って発売されても信じる人がいるかもしれない。


JP 東芝 AA9004 クリュイタンス フォーレ・レクイエム

《東芝音楽工業謹製 白金赤盤》JP 東芝音楽工業(赤盤) AA9004 クリュイタンス パリ音楽院管 フォーレ レクイエム(死者のためのミサ曲)

フォーレの《レクイエム》には次から次へと名演奏というに値するレコードが出てくるが、それでもこのレコードに残されたパリ音楽院管弦楽団の古の響き ― クリュイタンス盤を凌駕するような素晴らしい演奏にはぶつからないように思われる。全体を貫く敬虔な祈りと抒情の精神は、この曲の本質に最も近いところにあるのではないだろうか。
このフォーレの《レクイエム》は、フランス国立放送管弦楽団と1950年10月に録音したモノラル盤に続く、クリュイタンスにとって2度目の録音となったもの。1962年に録音された本盤の〝フォーレのレクイエム〟は、クリュイタンスの一連の録音の中でも、ビゼーの「カルメン&アルルの女」と並んで、最も評価の高いアルバムであり、1963年に発売されて以来、カタログから一度消えたことのない定盤として聴き継がれている名演です。
ガブリエル・フォーレの音楽は、人を無垢な状態にしてくれる。日常の衣を脱ぎ捨て、素のままの自分と向き合う大切さを促す。だから私はストレスが溜まると、その音楽に身を委ねたくなる。特にフォーレ好きの日本の音楽ファンにとっては、フランスERATOのミシェル・コルボ盤(1972年録音)と並んで、《レクイエム》の最高の名盤と位置付けられています。
詩情に彩られた美しい音楽を書いたことで知られるフォーレの音楽は、洗練された感性と神秘的な陶酔感に満ち、心が洗われるような不思議な感覚を抱かせる。42歳の時に書かれた《レクイエム》は、そんなフォーレの魂が結晶した傑作で、気高く清純な美しさを誇っている。クリュイタンスの1950年盤もフォーレの慎み深い作品の魅力を引き出した名演として知られていますが、この1962年盤は旧盤よりもさらにフランスあるいはラテン的な意識を超えて、スケールの大きな深みのある演奏で、そこに込められた敬虔な感情の高まりは他に類をみないほどです。ここではすべてが自在に振る舞われているようでいて、つくりものめいた要素は一切ない。しかも、必要なものはことごとくきちんと踏まえられている。ドラマティックとはいえないまでも、誇張がなくて抒情的であり、清潔感を漂わせている。
2人のソリストも豪華で、「ピエ・イエズ」でのヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスの清純さ、全盛期の輝きを示すディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウの完璧無類な歌唱、いずれも歴史的な名盤に相応しい彩りを添えています。日本とは縁の深かったアンリエット・ピュイグ=ロジェが ― おそらく教会備え付けの ― オルガンを担当しているのもオールド・ファンには懐かしいことでしょう。永遠に受け継がれるレジェンダリー・パフォーマンス。
1962年2月14日、15日、5月25日&26日パリ、聖ロック教会での録音。
1962年録音のこの名演は、フォーレのレクイエムの不朽の決定盤として、長く愛され続けてきたものです。国内では初期に近いホワイト&ゴールド・レーベルの赤盤です。録音秀逸オーディオ・ファイル盤なのは言うまでもない。録音された時代と同じ空気を感じられるのが初期盤収集の楽しみを十二分に与えてくれる名盤です。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

Victoria De Los Angeles, Dietrich Fischer-Dieskau, The Paris Conservatoire Orchestra, André Cluytens ‎– Fauré, Requiem, Op.48
レコード番号
AA9004
作曲家
ガブリエル・フォーレ
演奏者
ビクトリア・ロサンヘレス デートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ
オーケストラ
パリ音楽院管弦楽団
指揮者
アンドレ・クリュイタンス
録音種別
STEREO
東芝EMI前身東芝音楽工業謹製(白金赤盤), STEREO 1枚組 (140g) , Stamper 31/21。

販売レコードのカバー、レーベル写真

  • JP 東芝 AA9004 クリュイタンス フォーレ・レクイエム
  • JP 東芝 AA9004 クリュイタンス フォーレ・レクイエム

コンディション

ジャケット状態
M-
レコード状態
M-
製盤国
JP(日本)盤

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。



 
オーダーは 品番 / 34-24976
販売価格 3,000(税別)

http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-24976.jpg
January 28, 2021 at 06:30PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1130933.html
via Amadeusclassics

コメント

このブログの人気の投稿

優秀録音*優美な旋律と柔和な表現が忘れがたい ポリーニ、ベーム指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第4番

通販レコードのご案内  華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう。 《独ブルーライン盤》DE DGG 2530 791 ポリーニ&ベーム ベートーヴェン・ピアノ協奏曲4番  当時ベームの最もお気に入りだったピアニスト、ポリーニとの共演です。全集が計画されていたようですが、1981年にベームが他界、第1、2番を替わりにオイゲン・ヨッフムが振って変則的なカタチで完成しました。  録音はギュンター・ヘルマンス。ポリーニの精巧なタッチが怜悧れいりに録られています。録音としては極上ですが、しかし、演奏としては、この4番は物足りない。ベームはバックハウスとの火花を散らした録音があるし、ポリーニは15年後にアバドとの全集があるので全集が完成しなかったことは残念とは思えませんね。  ベートーヴェンが36歳時に完成したビアノ協奏曲第4番をポリーニが録音したのは34歳の時。第1楽章後半のベートーヴェン自身によるカデンツァを始め、華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう程のポリーニの若さの発露が優っている。ステレオ録音。 1976年6月録音。優秀録音盤。ギュンター・ヘルマンスの録音。 http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-19239.jpg June 27, 2019 at 09:15AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1065647.html via Amadeusclassics

歴史とジャズと竹あかり ― 映画上映、朗読劇とジャズ演奏で「四時軒の夕べ」を楽しみませんか

四時軒の夕べ 〜歴史とジャズと竹あかり 無料 開催日 2024年10月27日(日) 16:00〜17:10 映画上映 17:10〜17:30 「四賢婦人」朗読劇 17:30〜18:10 横井小楠記念館館長のお話 18:10〜18:30 ライトアップ点灯式 18:20〜20:00 ジャズ演奏(コントラバス、ピアノ、ドラム) 会場 四時軒 (熊本市東区沼山津1-25-91) 対象 どなたでも(申込不要・直接会場へ) 参加費 無料 主催 横井小楠顕正会 協力 熊本市都市デザイン課・秋津まちづくりセンター http://img01.ti-da.net/usr/a/m/a/amadeusrecord/Yokoi-Shohnan_gqR.jpg October 04, 2024 at 03:00AM from アナログレコードの魅力✪昭和の名盤レコードコンサートでご体験ください http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1194695.html via Amadeusclassics

名曲名盤縁起 プラター公園に訪れた、花満開の春を喜ぶ歌 シュトルツ〜歌曲《プラターに再び花は咲いて》

ウィンナ・ワルツの名指揮者シュトルツ没 ― 1975年6月27日  ウィーンという町には1年365日、朝から夜中まで音楽が鳴り響いている。夜中であったにもかかわらず、シュテファン大聖堂の建物そのものから厳かな宗教音楽が聴こえてくるのを味わうことも出来るほど、教会でのレコード録音は深夜を徹して行われている。  ウィーン音楽の王様はシュトラウス・ファミリーだが、20世気に入ってからのウィーンの楽壇で、指揮者・作曲家として大活躍したロベルト・シュトルツの音楽も、ウィーン情緒を満喫させてくれる。オペレッタやワルツに大ヒットがあるが、今日の命日には、100曲を超すという民謡風の歌曲から、ウィーンっ子がみなうたった《プラターに再び花は咲いて》を聴こう。映画「第三の男」で有名になった大観覧車のあるプラター公園の春を讃えた歌で、「プラター公園は花ざかり」というタイトルでも呼ばれている。 通販レコードのご案内  DE DECCA SBA25 046-D/1-4 ロベルト・シュトルツ レハール・メリー・ウィドウ/ジュディッタ  シュトルツにとっては、ヨハン・シュトラウスの作品をオリジナルな形でレコードに入れて後世に遺すことこそ、指揮者としての活動の頂点であることを意味すると云っていたのを読んだ事が有ります。ウィーンは音楽の都で数々の彫像や記念碑や街の通りにシューベルト、ブラームス、モーツアルト、ヨハン・シュトラウスといった大作曲家の彫刻が有ります。いずれも、生まれながらの(あるいはあとから住みついた)ウィーン市民でした。  作曲家であり指揮者であり、無冠のワルツ王の最後の人であるロベルト・シュトルツも、ウィーン音楽の生き字引としてこうしたカテゴリーに入るのではないか。1887年に天才少年ピアニストとして初めてヨーロッパを旅行してから今日に至るまで、ロベルト・シュトルツはその人生を音楽にささげてきたのである。その間には2,000曲の歌、50のオペレッタ、100にのぼる映画音楽を作曲し、数百回のレコーディングを行っているという。本盤もそうした中のセット。皆様をウィーンに誘う魅力タップリです。 ウィンナ・ワルツの伝統を保持する最後の指揮者  ウィーン・オペレッタ最末期の作曲家の一人として『春のパレード』などの作品を発表し人気を得たロベルト・シュトルツは、指揮者でオペレッ