端正で剛健、カラヤンが振っている艶のあるベルリン・フィルとは違って角の立ったような響きが魅力的です。
実に手がたい造形と音楽的な起伏、重厚なひびきをもった演奏で、いわゆるドイツ的なスタイルのドヴォルザークの典型である。しかしこれらが音楽の質として極上でありながら、それ以上に大衆の関心をひくものがないこともまた認めねばならない。
当時47歳のケンペが、まだフルトヴェングラーの残像が残っていたであろうベルリン・フィルを指揮した録音です。同じ EMI のカラヤン指揮ベルリン・フィルの《新世界より》はインターナショナルな名曲演奏となっていますが、こちらは正統派独墺系のドヴォルザーク。どこを取っても、ケンペの解釈は迷いがなく、むしろそれを徹底させたことで、どっしりとした演奏になっています。しかもオーケストラのアンサンブルが巧いので、力で押してもきちんと節度を保たせていますし、そのようにコントロールしているのがまたケンペの特徴でしょう。モノラル期からステレオ期に移行するこの頃に、ケンペはベルリン・フィルと「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲録音を始めとして、比較的多くの録音を行いました。
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《独スタンプ・エレクトローラ盤》DE ELECTROLA WCLP547 ルドルフ・ケンペ ドヴォルザーク・交響曲9番「新世界より」 若いころからゲバントハウス管弦楽団などの首席オーボエ奏者としてスタートしただけあって、多くの著名な指揮者を何時も真正面から目の当たりにして自然と偉大な指揮法を身につけたルドルフ・ケンペ。内声部に沈みがちな木管楽器をセンシティヴに鳴らす独特のバランス感覚から、手応えに満ちたドラマを描き出している。その指揮振りは、冴えたリズム感、自身もオーボエ奏者であったことからくる各声部の透明で豊かな響き、歌劇場での活動に支えられた劇的表現といった積極的要素に富んでいて説得力の高いものである。
本盤もケンペの特質である自然で流麗なフレージング、透明な音色感、生気に満ちたエネルギーの解放が際立った演奏です。特にベルリン・フィルやウィーン・フィルを振ると、何時もケンペの意欲が漲り、独特の対位法的なオーケストレーションを巧みに処理している。必然的に自然と溶け込んでエッジの効いた演奏に仕上がっています。特異なドイツ系の指揮者を探していた英EMIが飛びつくのも当然と云えば当然です。1957年9月2日ベルリン、グリューネヴァルト教会での優秀録音。
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December 30, 2020 at 09:00AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1042072.html
via Amadeusclassics
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