通販レコードのご案内 2つの録音を同じように論じるのは無理があるが、ソナタと合わせて聴き比べるのが楽しい。
《ブルーライン盤》FR DGG 413 235-1 アルゲリッチ ショパン・ピアノ協奏曲1/2番・ピアノソナタ2/3番 アルゲリッチが1965年のショパンコンクールで優勝した熱狂冷めやらぬ、この1968年に録音された《ピアノ協奏曲 第1番》はまさに圧倒的で、ここまで情熱的にしかもロマンティックさも忘れずに演奏しきってしまえるところがアルゲリッチらしく素晴らしい。これにより彼女の名が世界に知れ渡るようになる。”ピアノの詩人”たるショパンが青春の希望を込めて作曲したピアノ協奏曲 ー 19歳の時の2曲だけがショパンの唯一のオーケストラを伴う作品、パリに移ってからはピアノソロだけを数多く作曲している ー だけに雄大で繊細でありエレガント。その点、このアルゲリッチの演奏は楽譜そっちのけの自由奔放さ、ジェットコースター的にたたみかけるスピード感と非常に繊細な情感との両方の魅力を持ってショパンの努力はどこかへ吹き飛ばされている。
甘さ、はかなさ、そしてなんとも言えない色気が伝わってきて、到底二十歳前のショパン ー ピアニストとしての夢と、甘酸っぱい初恋 ー の心境とはかけ離れているが、理屈を超えたショパンの真髄が感覚的に完璧に表現されています。《ピアノ協奏曲 第1番》は、アルゲリッチがノリノリになってテンポがつかめなくなってしまうほど才気ばしっているが、アバド&ロンドン交響楽団が良く付いていっている。
《第1番》から10年後、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチの伴奏はそれに対して《ピアノ協奏曲 第2番》は違った印象を受ける。ロストロポーヴィチは1970年、社会主義を批判した作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンを擁護したことによりソビエト当局から「反体制」とみなされ、国内演奏活動を停止させられ外国での出演契約も一方的に破棄される。亡命して1977年、アメリカ合衆国へ渡りワシントン・ナショナル交響楽団音楽監督兼首席常任指揮者のポストを得たが、ソビエト当局により国籍剥奪という報復を受けた。その渦中の演奏である。既にプロとして13年のキャリアを経て円熟したアルゲリッチのピアノに、体制への強い気持ちを注入している。アバドとの録音から時の開きがありアルゲリッチの懐が大きくなっているのは当然だが、アプローチの異なる二人の指揮者の狙いにアルゲリッチの『意思』の示し方を聴き比べる、贅沢な楽しみ方が出来る2枚組。
- 品番
- 34-7335
- 商品名
- FR DGG 413 235-1 アルゲリッチ ショパン・ピアノ協奏曲1/2番・ピアノソナタ2/3番
- レコード番号
- 413 235-1
- 作曲家
- フレデリック・ショパン
- 演奏者
- マルタ・アルゲリッチ
- オーケストラ
- ロンドン交響楽団
- 指揮者
- クラウディオ・アバド
- オーケストラ
- ワシントン・ナショナル交響楽団
- 指揮者
- ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
- 録音種別
- STEREO
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December 26, 2020 at 08:00PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e969480.html
via Amadeusclassics
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