ドイツ語歌唱はモーツァルトでは違和感とはならない。
序曲冒頭の柔らかく、コットンのような弦楽器の響きを耳にして溜息が出る人も後を絶たないであろう。ベリー、ローテンベルガー、プライ、ギューデン、マティス、シュライアー、ブルマイスター、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団よる演奏。名歌手が勢揃いした超豪華歌手陣をスウィトナーが巧みに統率しおり推進力と弾力性に富むアプローチが小気味よい快演です。独語版ですがモーツァルトでは、それほど違和感はありません。モーツァルトのオペラで言葉は、特別意味を持たないだろう。スウィトナーとシュターツカペレ・ドレスデンはモーツァルトのオペラ上演に馴染んでいるので、ドイツ語の響きとモーツァルトの音楽の抑揚をフィットさせるのだろう。スウィトナーの明るく軽快で躍動感溢れる音楽作りが、ドイツ語でも何の抵抗もなく自然にフィガロの世界に誘ってくれる。シルクのようなシュターツカペレ・ドレスデンの美しい響きも絶品。
ウィーン・フィルとよく似た格調高い響きだけれど、音符を完璧に弾き切るシュターツカペレ・ドレスデンのオーケストラの実力には凄みすら感じさせ、ウィーン・フィルよりもやや落ち着いた輝きが全体によく溶け合ってとてもいい。緩徐部分ではじっくりと落ち着きをみせて、ソロ奏者の妙技がじっくり味わえます。音楽が息づいているというのはこんな感じを指すのであろう。スウィトナーのモーツァルトはかねてから評判がよい。地味な指揮者ではあるが、モーツァルト指揮者としての名声は古くからあり、その録音も廃盤になることなく、聴き継がれている。それは何より、本盤では、モーツァルトの音楽が喜々として歌われており、終始楽しい雰囲気に包まれているからだろう。
モーツァルトの三大オペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」は、そのどれもが余りに素晴らしいので、これに順序を付けるのはおよそ至難の業です。聴き手の好みに委ねる他に手は無いでしょう。そして、同じことで登場人物の優劣がない。フィガロの結婚では、フィガロとアルマヴィーヴァ伯爵が、2つの主題で。伯爵夫人とスザンナが副旋律だ。表紙に並ぶ4人は誰一人欠くことが出来ない。フィガロ、伯爵、スザンナ、伯爵夫人。この4人にフォーカスした複合協奏曲だ。登場人物それぞれを主役に聴くことも出来る。
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《独カラースタンプドッグ盤》DE EMI C183-30 159-61 スイトナー&ドレスデン&ベリー&プライ モーツァルト・フィガロの結婚(全曲 ドイツ語) ベリーのフィガロとプライの伯爵は正に適役。ローテンベルガーのスザンナは凛々しく、マティスのケルビーノも可憐です。出番が少ないながらバジーリオを歌うシュライヤーも光っています。フィガロ歌いのヘルマン・プライが、本盤ではアルマヴィーヴァ伯爵を歌っている。フィガロを歌う時と違い、貴族の気品と色気、そして伯爵に必要な恋の情熱の表現も上手い。2年後のベーム盤ではフィガロを歌っているが、アルマヴィーヴァ伯爵の役どころも心得ていたことが素晴らしい成果になったものだろう。フィガロの結婚のドラマは、単なる喜劇では無く、封建制度を風刺、批判する”毒”を含む内容とも受け止められる。かなり入り組んだドタバタ劇ながら、実に計算され尽くした傑作喜劇です。1964年8月、ドレスデンのルカ教会で録音。
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September 30, 2020 at 06:00AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1041448.html
via Amadeusclassics
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