通販レコードのご案内 ギレリスの過剰な強打を、マゼールはホワっとかわし丁々発止の二人の様は、ホロヴィッツ、トスカニーニ盤に匹敵するカタルシスを味わえる。
《Le Chant Du Monde 盤》FR Le Chant Du Monde LDX78580/81ギレリス チャイコフスキー・ピアノ協奏曲全集 ギレリスのピアノ演奏は、その内面からくる音楽解釈の深さと卓越した技巧により常に私たちを魅了し続けており、現在でも多くの音楽ファンは楽曲の本質的な演奏をギレリスに求めています。米ロの冷戦の最中、西側登場以前、以後ともに豊富な録音が残されていますが、ギレリス60歳前後、まさに脂の乗り切った絶頂期の録音で若い時から比類ないと云われてきた完璧なテクニック、ピアノを豪快に鳴らしきった明快な音はそのままに、表現は一層深みを増している感じ。
「鋼鉄のピアニズム」といわれて一世を風靡したギレリスがお得意のチャイコフスキーの大作を前に、巨匠マゼールと真っ向から対峙しています。
機械のように正確な技巧と繊細な叙情性を併せ持ったギレリスの演奏は音響的ハレーション寸前、ピアノが壊れるのではないかというほどに容赦ないフォルテシモをこれでもかと浴びせかけます。
サポートするマゼールの巧みさは、ここはチェロ、ここは木管、ここは金管というように各声部を過剰に強調しながら場面を切りかえ、ギレリスの過剰な強打を髪の毛一本の間合いで躱していきます。
第1楽章の出だしは好きなのだけど後半は捕まえどころのない「あのセンチメンタリズムにはついていけない、、、、」という吉田秀和さんの言葉に頷く辛口好みの硬派なチャイコフスキー苦手派に、ぴったりの演奏。過度な化粧や装飾をそぎ落とし、しっかりとした構成をベースに明確な輪郭を形成し、その内面をロマンティックな表情で固める彼の演奏の凛とした姿勢がここに示されています。結果、類を見ない情熱的で雄大なスケールのうちにも詩情豊かな味わいを持つ絶品のチャイコフスキーです。まっとうなチャイコフスキー演奏とは究極の演奏として永年 ― いや、これからも筆頭に挙げられ続けているチャイコフスキーの名盤中の名盤として君臨する ― 引きずり下ろす録音の登場に期待してもいますが。
楽曲の解釈より抱腹絶倒な両者のやりあいの面白さに耳奪われますが録音も、どこをとっても音響が充実しているという意味では、これ以上は考えられないというくらい気持ちの良い音がリスニング・ルームを埋め尽くしてくれます。ステレオ録音。
- 品番
- 34-8929
- レコード番号
- LDX78580/81
- 作曲家
- ピョートル・チャイコフスキー
- ピアノ演奏
- エミール・ギレリス
- オーケストラ
- ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
- 指揮者
- ロリン・マゼール
- 録音種別
- STEREO
http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-8929.jpg
June 29, 2020 from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e934830.html
via Amadeusclassics
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