スキップしてメイン コンテンツに移動

フレッシュ*アバド ロンドン響 ヒンデミット/ヤナーチェク・シンフォニエッタ、ウェーバーの主題による交響的変容

通販レコードのご案内 率直さの漲る表現で聴かせる若き日のアバドのシャープな感性が光る一枚です。

NL DECCA SXL6398 アバド ヤナーチェック・シンフォニエッタ《蘭ナローバンド ED4 盤》NL DECCA SXL6398 アバド ヤナーチェック・シンフォニエッタ ヤナーチェク唯一の交響曲作品となった晩年の《シンフォニエッタ》、交響曲ふうの4楽章から成るヒンデミットの《交響的変容》を組み合わせた本盤は、アバドがデビューして間もない頃に録音した近・現代オーケストラ作品集で、その解釈は指揮者の技量もよく分かる若さと緻密な計算が見事にバランスされた快演でした。
 私がクラシック音楽を聴き始めて間もなく、颯爽と若き指揮者アバドはデビューし、LPでリリースされた数々のバレエ音楽の演奏は印象に残っています。アバドは、1970年代後半イタリアの殿堂スカラ座を束ねて、その手腕を如何なく発揮していた。それがメキメキ頭角を現して、やがてベルリン・フィルのシェフにまで登り詰めたわけです。そのキャリアに上り詰めるまでの実力を実証する盤が、デビュー間もない頃英デッカに収録した、この《シンフォニエッタ》。大病後の生まれ変わったようなスタイルに驚き、独墺大作曲家のシンフォニー等でも一定の評価を得てはいましたが、私はかつて若きアバドがロンドン交響楽団を振ってのプロコフィエフの古典交響曲、バレエ音楽「ロメオとジュリエット」抜粋、バレエ組曲「道化師」等を聴いていました。RCA盤に比べ入手しやすく、しかもコンディションも良く、バジェット価格の本盤はオーディオ再生のリファレンスによく使っています。湿度の高い時と乾燥した空気の中では、そのトランペット群の響きのニュアンスの変化を楽しんでいます。
 この指揮者の作品を演奏する事への意欲とともに、非常に良いセンスと、作品の内容への完璧な理解力が備わっている演奏は、聴き続けて疲れず、聴き返して飽きない。アバドの得意な歌うピアニシモ、その反面のダイナミクスの幅の大きさ。たたみかけるような迫力や抜群なテンポ感も充分。ワーグナーをも思わせるようなロマンテックな響き。村上春樹の『1Q84』のモチーフになって一躍注目を受けた、ヤナーチェク独特の作曲語法をアバドがしっかりと咀嚼していることが伝わってくるので、ヤナーチェク初心者の方にもぜひおすすめしたい。今でもシンフォニエッタの最右翼盤。

http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-8998.jpg
May 26, 2020 at 02:15AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1071603.html
via Amadeusclassics

コメント

このブログの人気の投稿

優秀録音*優美な旋律と柔和な表現が忘れがたい ポリーニ、ベーム指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第4番

通販レコードのご案内  華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう。 《独ブルーライン盤》DE DGG 2530 791 ポリーニ&ベーム ベートーヴェン・ピアノ協奏曲4番  当時ベームの最もお気に入りだったピアニスト、ポリーニとの共演です。全集が計画されていたようですが、1981年にベームが他界、第1、2番を替わりにオイゲン・ヨッフムが振って変則的なカタチで完成しました。  録音はギュンター・ヘルマンス。ポリーニの精巧なタッチが怜悧れいりに録られています。録音としては極上ですが、しかし、演奏としては、この4番は物足りない。ベームはバックハウスとの火花を散らした録音があるし、ポリーニは15年後にアバドとの全集があるので全集が完成しなかったことは残念とは思えませんね。  ベートーヴェンが36歳時に完成したビアノ協奏曲第4番をポリーニが録音したのは34歳の時。第1楽章後半のベートーヴェン自身によるカデンツァを始め、華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう程のポリーニの若さの発露が優っている。ステレオ録音。 1976年6月録音。優秀録音盤。ギュンター・ヘルマンスの録音。 http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-19239.jpg June 27, 2019 at 09:15AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1065647.html via Amadeusclassics

歴史とジャズと竹あかり ― 映画上映、朗読劇とジャズ演奏で「四時軒の夕べ」を楽しみませんか

四時軒の夕べ 〜歴史とジャズと竹あかり 無料 開催日 2024年10月27日(日) 16:00〜17:10 映画上映 17:10〜17:30 「四賢婦人」朗読劇 17:30〜18:10 横井小楠記念館館長のお話 18:10〜18:30 ライトアップ点灯式 18:20〜20:00 ジャズ演奏(コントラバス、ピアノ、ドラム) 会場 四時軒 (熊本市東区沼山津1-25-91) 対象 どなたでも(申込不要・直接会場へ) 参加費 無料 主催 横井小楠顕正会 協力 熊本市都市デザイン課・秋津まちづくりセンター http://img01.ti-da.net/usr/a/m/a/amadeusrecord/Yokoi-Shohnan_gqR.jpg October 04, 2024 at 03:00AM from アナログレコードの魅力✪昭和の名盤レコードコンサートでご体験ください http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1194695.html via Amadeusclassics

名曲名盤縁起 プラター公園に訪れた、花満開の春を喜ぶ歌 シュトルツ〜歌曲《プラターに再び花は咲いて》

ウィンナ・ワルツの名指揮者シュトルツ没 ― 1975年6月27日  ウィーンという町には1年365日、朝から夜中まで音楽が鳴り響いている。夜中であったにもかかわらず、シュテファン大聖堂の建物そのものから厳かな宗教音楽が聴こえてくるのを味わうことも出来るほど、教会でのレコード録音は深夜を徹して行われている。  ウィーン音楽の王様はシュトラウス・ファミリーだが、20世気に入ってからのウィーンの楽壇で、指揮者・作曲家として大活躍したロベルト・シュトルツの音楽も、ウィーン情緒を満喫させてくれる。オペレッタやワルツに大ヒットがあるが、今日の命日には、100曲を超すという民謡風の歌曲から、ウィーンっ子がみなうたった《プラターに再び花は咲いて》を聴こう。映画「第三の男」で有名になった大観覧車のあるプラター公園の春を讃えた歌で、「プラター公園は花ざかり」というタイトルでも呼ばれている。 通販レコードのご案内  DE DECCA SBA25 046-D/1-4 ロベルト・シュトルツ レハール・メリー・ウィドウ/ジュディッタ  シュトルツにとっては、ヨハン・シュトラウスの作品をオリジナルな形でレコードに入れて後世に遺すことこそ、指揮者としての活動の頂点であることを意味すると云っていたのを読んだ事が有ります。ウィーンは音楽の都で数々の彫像や記念碑や街の通りにシューベルト、ブラームス、モーツアルト、ヨハン・シュトラウスといった大作曲家の彫刻が有ります。いずれも、生まれながらの(あるいはあとから住みついた)ウィーン市民でした。  作曲家であり指揮者であり、無冠のワルツ王の最後の人であるロベルト・シュトルツも、ウィーン音楽の生き字引としてこうしたカテゴリーに入るのではないか。1887年に天才少年ピアニストとして初めてヨーロッパを旅行してから今日に至るまで、ロベルト・シュトルツはその人生を音楽にささげてきたのである。その間には2,000曲の歌、50のオペレッタ、100にのぼる映画音楽を作曲し、数百回のレコーディングを行っているという。本盤もそうした中のセット。皆様をウィーンに誘う魅力タップリです。 ウィンナ・ワルツの伝統を保持する最後の指揮者  ウィーン・オペレッタ最末期の作曲家の一人として『春のパレード』などの作品を発表し人気を得たロベルト・シュトルツは、指揮者でオペレッ