通販レコードのご案内ワルターの、終始優しい眼差しもった明るい響きはロマン的 ― と題されるこの曲に相応しいものです。
(演奏者)ブルーノ・ワルター指揮 コロムビア交響楽団
(曲目)ブルックナー 交響曲4番「ロマンティック」、ワーグナー 歌劇「タンホイザー」序曲とヴェヌスベルクの音楽
米国初期盤。ブルーノ・ワルターがその最晩年に、録音用に特別編成されたコロムビア交響楽団と録音した歴史的名盤です。終始優しい眼差しもった明るい響きで「ロマンティック」を完全に演奏した名盤です。ブラスの輝き、弦の艶、内声部の明確さなど鮮烈な音で再現されていきます。
80歳で現役を引退後、ワルターから見ると孫の世代のような30歳代のジョン・マックルーアの強引な説得で、彼の意匠をステレオ録音すべく専属のオーケストラ、所謂コロムビア交響楽団が結成され、本セットは1958〜59年に集中的に製作された。その後、彼の死の年まで約5年間にわたり録音プロジェクトが続けられた。ワルターの遺言的産物である。
ブルックナーの最初の成功作となった《交響曲第4番》の特徴は、彼自身が付けた「ロマンチック」という副題が雄弁に語っている。これはドイツの奥深い森で味わう神秘的な感情をあらわしており、ベルリオーズやリストのような標題音楽と誤解されてはならない。ベートーヴェンの「田園交響曲」と同じように、ブルックナーの大自然に対する限りない愛情を盛り込んだもの、とでも思えば良い。そこには自然への憧れ、「遠い昔」への郷愁、神秘的幻想などが込められており、時代を超えて、私たちをそうした世界へと誘ってくれる。しかしブルックナーは無邪気にも、そういった誤解を招くような説明を、この交響曲に加えている。一種のこじつけであろうが彼は、この曲の第1楽章をワーグナーのローエングリーン第2幕に出てくるような中世の情景画として説明している。自筆譜の作曲家自身の書き込みは物語的だ。「中世の町 ― 夜明け ― リンツの教会の塔から朝を知らせるラッパが吹かれる」 ― 朝霧を思わせる〝ブルックナー開始〟から、のどかなホルン独奏の第1主題が登場。夜が明けるようにクレシェンドした後、〝ブルックナー・リズム〟の副楽想が登場する。「目覚めた町の門が開かれ、馬に乗った騎士たちが野外へと駆け出す ― 森のささやき」 ― 2つの旋律が同時に歌われる第2主題は、ブルックナーが生まれ故郷の上部オーストリアでよく聴いた「チチチッ」というヤマガラの鳴き声に由来している。ホルンとテューバなどが力強くブルックナー・リズムを吹き下ろすと、それが第3主題である。深い深い霧の中から、何かが次第に姿を表してくるかのような、こうした手法はブルックナー一流のもので、これを称して俗に「原始霧」といっている。彼の他の交響曲によく見られるミサ曲からの旋律の引用が全く無く、明るくまたやわらかな変ホ長調がとられ、0番から3番までの交響曲に見られた悲劇的、あるいは神秘的な雰囲気から脱したオプティミスティック、あるいはロマンティックなものが感じられる。ブルックナーの音楽には、いたるところに素朴なオーストリアの風光が潜んでいるのだ。
ワルター盤はオーケストラの響きがやや薄手で明るすぎるのが欠点だが、ブルックナーの世界に陶酔しながらも、一点一画も疎かにせず、精緻に優麗に田園的情緒を豊かに描き出している点が素晴らしい。ブラスの輝き、弦の艶、内声部の明確さなど、鮮烈な音で再現されていきます。ロマン主義の白鳥の歌とされるブルックナーの交響曲と、前世紀のクラシック音楽のロマンの名残をとどめたワルターの音楽。「ロマンティック」をワルターは輝かしい響きで完全に演奏した名盤です。
米国コロムビアの発祥は1930年に設立されたコロムビア・アーティスツ・マネージメント・インクという会社で、ユダヤ系資本が大株主で音楽界に絶大な力を及ぼしていることについては色々と書かれていることもあり、ユダヤ系のレナード・バーンスタインや同時並行して1950年代後半から引退中だったこれまたユダヤ系のワルターの起用したことは周知の事実。モノーラルからステレオの普及黎明期ということもあり、純粋に彼らの仕事を後世に伝えようとする熱意から発展した。なんであれ、こうして大指揮者の最晩年に多くの美しい録音がモノラル・セッションとステレオ両方とで残されたことは幸いでした。
1960年2月13,15,17,25日カリフォルニア・ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホール、ジョン・マックルーアによる録音。ブックレット付属、優秀録音、名演、名盤。
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April 26, 2020 at 07:15PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1115582.html
via Amadeusclassics
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