通販レコードのご案内 燃え立つミュンシュの棒と相性も抜群であり、ラヴェルの精緻なスコアにルーセルばりの情熱を注ぎ込んだ名演。
【SP盤】GB HMV D.B.3885.6 ALFRED CORTOT CONCERTO FOR LEFT HAND 収録曲は、ラヴェル作曲の左手のためのピアノ協奏曲ニ長調。1939年5月12日パリ録音。D.B.3885, D.B.3886 2枚が揃っています。モーリス・ラヴェル(1875〜1937)は第1次世界大戦(1914〜1918)で負傷し右手を失ったオーストリアのピアニスト、パウル・ヴィットゲンシュタイン(1887〜1961)の依頼で「左手のためのピアノ協奏曲ニ長調」を作曲した。初演はヴィットゲンシュタインのソロ、ロベルト・ヘーガー(1886〜1978)指揮で1931年ウィーンで行われた。ヴィットゲンシュタインは力量不足で楽譜通りに弾ききれず勝手に手を加えて演奏した上にピアノがあまりにも難技巧のため音楽性がないと曲を非難した。そのため以降このピアニストとラヴェルの仲は険悪となった。楽譜通りの初演は1933年にジャック・フェヴリエール(1900〜1979)によってパリで行われた。
毎朝6時よりバッハ《平均律》とショパンの《練習曲》全曲を弾くのがコルトーの日課であった。楽聖ショパン以来の「ピアノの詩人」と評されるコルトーは生来、指の関節の力が弱かったという。しかしこの人は、冷静かつ合理的な訓練を自らに課すことによって克服し、20世紀最高の一人と言われる地位を築き上げたのである。コルトーは、左手だけで弾くこと自体は限定的な要素だとして、ラヴェルの死後に左手のソロ・パートを両手用に編曲した版を作って、ラヴェル家の人たちを激怒させたが、コルトーの音楽への姿勢もここに感じられる。
コルトーの演奏は決してロマンティシズムの残滓ではなく、20世紀の新しい演奏である。SPの時代から多かったミス・タッチ、晩年の演奏に見られる余りにも急速な技巧の衰えなどは、恵まれていたとはいえない彼のピアニストとしての遺伝子を思えば、当然のことであったかもしれない。一般にコルトーの演奏は技巧が衰える前の若いころのものが良い、というのが定説だ。しかし、録音で聞く限り、テンポが遅くなり、深みを増している晩年の演奏に惹かれる。コルトーとフルトヴェングラーは別格だ。ほんとうに心を奪われてしまう。
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March 30, 2020 at 05:00AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1036335.html
via Amadeusclassics
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