スキップしてメイン コンテンツに移動

名曲名盤縁起 ピアニストの苦闘が報われる協奏曲の超難曲 ラフマニノフ〜《ピアノ協奏曲第3番》より第3楽章

〝巨大な手〟ラフマニノフ没 ― 1943年3月28日

 クライスラーの名曲「愛の悲しみ」を、ヴィルトゥオーゾ仕様のピアノ独奏曲にアレンジしてしまったラフマニノフ。それはヴァイオリンの伴奏からピアノを開放して、なおさらヴァイオリンの存在さえ内包してしまう超絶的編曲の才能を発揮したものとなった。
 フリッツ・クライスラー(1875年2月2日ウィーン〜1962年1月29日ニューヨーク)と、ラフマニノフは同時代のニューヨークの空気を吸って存在を示しあった共に人気演奏家で作曲家だった。マネージャーが同じだったことからクライスラーは、セルゲイ・ラフマニノフと親交を深めてグリーグの「ヴァイオリンソナタ第3番」などの録音を残した。ラフマニノフはコレルリの主題による変奏曲をクライスラーに献呈すると共に「愛の喜び」と「愛の悲しみ」の2曲をピアノ独奏用に編曲している。一方、クライスラーはラフマニノフの歌曲にヴァイオリンのオブリガードを追加した編曲を残している。

GB DEC PFS4150 カメラータ・ザルツブルク THE R… ピアニストは大きい手が有利である。指はオクターヴ(ドから次のドまで)以上広がると楽。一流のピアニストは5本の指がみな長いが、小指が薬指かと思うほど長いのも特徴。小さい頃からの練習の積み重ねでそうなるらしい。手のひらの厚さ、指の関節、手首の柔らかさも重要。腕そのものの長さも、多彩な音色を生み出すことに関係している。
そういうヴィルトゥオーゾ(名人)の資質を最も高いレベルで持っていたのが、今日が命日のロシアのセルゲイ・ラフマニノフだ。
 ラフマニノフのピアノ音楽は、協奏曲の第2番と第3番が飛び抜けて有名だ。日本の実力者・小山実稚恵さんが、「どちらが難しいですか?」と質問されて、「3番のほうが何倍も難しい」と答えられた。第3楽章は、超絶技巧と歌の感性を総動員させられる長大でドラマティックなフィナーレ。
終わるとソリストは刀折れ矢尽きた感じで、鍵盤上に倒れ込みそうになるが、その後に盛大な「ブラヴォー」が待っている。

第3番(Piano Concerto No.3)【1907~09年作曲】

 ラフマニノフのピアノ協奏曲の中で最もスケールの大きく、ダイナミックな作品。アカデミー賞受賞作品「シャイン」でも「世界で最も難しく、最も美しい曲」と評されている。
 ラフマニノフは1907年からこの作品の構想に入っていたが、1909年にアメリカから招かれることとなり、アメリカでの初演を目的に完成された。実際1909年アメリカで初演され、大好評を博した。また、このアメリカツアーの最後にカーネギーホールでマーラー指揮、ラフマニノフのピアノという今から考えると信じられないキャストでの演奏も行われた。

http://recordsound.jp/images/item/w270/17800/17775_1.jpg
March 28, 2020 at 04:15PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1065596.html
via Amadeusclassics

コメント

このブログの人気の投稿

優秀録音*優美な旋律と柔和な表現が忘れがたい ポリーニ、ベーム指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第4番

通販レコードのご案内  華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう。 《独ブルーライン盤》DE DGG 2530 791 ポリーニ&ベーム ベートーヴェン・ピアノ協奏曲4番  当時ベームの最もお気に入りだったピアニスト、ポリーニとの共演です。全集が計画されていたようですが、1981年にベームが他界、第1、2番を替わりにオイゲン・ヨッフムが振って変則的なカタチで完成しました。  録音はギュンター・ヘルマンス。ポリーニの精巧なタッチが怜悧れいりに録られています。録音としては極上ですが、しかし、演奏としては、この4番は物足りない。ベームはバックハウスとの火花を散らした録音があるし、ポリーニは15年後にアバドとの全集があるので全集が完成しなかったことは残念とは思えませんね。  ベートーヴェンが36歳時に完成したビアノ協奏曲第4番をポリーニが録音したのは34歳の時。第1楽章後半のベートーヴェン自身によるカデンツァを始め、華々しいこの曲の随所に聴かれるフレーズは粒立ったピアノのタッチに思わずため息が出てしまう程のポリーニの若さの発露が優っている。ステレオ録音。 1976年6月録音。優秀録音盤。ギュンター・ヘルマンスの録音。 http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-19239.jpg June 27, 2019 at 09:15AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1065647.html via Amadeusclassics

歴史とジャズと竹あかり ― 映画上映、朗読劇とジャズ演奏で「四時軒の夕べ」を楽しみませんか

四時軒の夕べ 〜歴史とジャズと竹あかり 無料 開催日 2024年10月27日(日) 16:00〜17:10 映画上映 17:10〜17:30 「四賢婦人」朗読劇 17:30〜18:10 横井小楠記念館館長のお話 18:10〜18:30 ライトアップ点灯式 18:20〜20:00 ジャズ演奏(コントラバス、ピアノ、ドラム) 会場 四時軒 (熊本市東区沼山津1-25-91) 対象 どなたでも(申込不要・直接会場へ) 参加費 無料 主催 横井小楠顕正会 協力 熊本市都市デザイン課・秋津まちづくりセンター http://img01.ti-da.net/usr/a/m/a/amadeusrecord/Yokoi-Shohnan_gqR.jpg October 04, 2024 at 03:00AM from アナログレコードの魅力✪昭和の名盤レコードコンサートでご体験ください http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1194695.html via Amadeusclassics

名曲名盤縁起 プラター公園に訪れた、花満開の春を喜ぶ歌 シュトルツ〜歌曲《プラターに再び花は咲いて》

ウィンナ・ワルツの名指揮者シュトルツ没 ― 1975年6月27日  ウィーンという町には1年365日、朝から夜中まで音楽が鳴り響いている。夜中であったにもかかわらず、シュテファン大聖堂の建物そのものから厳かな宗教音楽が聴こえてくるのを味わうことも出来るほど、教会でのレコード録音は深夜を徹して行われている。  ウィーン音楽の王様はシュトラウス・ファミリーだが、20世気に入ってからのウィーンの楽壇で、指揮者・作曲家として大活躍したロベルト・シュトルツの音楽も、ウィーン情緒を満喫させてくれる。オペレッタやワルツに大ヒットがあるが、今日の命日には、100曲を超すという民謡風の歌曲から、ウィーンっ子がみなうたった《プラターに再び花は咲いて》を聴こう。映画「第三の男」で有名になった大観覧車のあるプラター公園の春を讃えた歌で、「プラター公園は花ざかり」というタイトルでも呼ばれている。 通販レコードのご案内  DE DECCA SBA25 046-D/1-4 ロベルト・シュトルツ レハール・メリー・ウィドウ/ジュディッタ  シュトルツにとっては、ヨハン・シュトラウスの作品をオリジナルな形でレコードに入れて後世に遺すことこそ、指揮者としての活動の頂点であることを意味すると云っていたのを読んだ事が有ります。ウィーンは音楽の都で数々の彫像や記念碑や街の通りにシューベルト、ブラームス、モーツアルト、ヨハン・シュトラウスといった大作曲家の彫刻が有ります。いずれも、生まれながらの(あるいはあとから住みついた)ウィーン市民でした。  作曲家であり指揮者であり、無冠のワルツ王の最後の人であるロベルト・シュトルツも、ウィーン音楽の生き字引としてこうしたカテゴリーに入るのではないか。1887年に天才少年ピアニストとして初めてヨーロッパを旅行してから今日に至るまで、ロベルト・シュトルツはその人生を音楽にささげてきたのである。その間には2,000曲の歌、50のオペレッタ、100にのぼる映画音楽を作曲し、数百回のレコーディングを行っているという。本盤もそうした中のセット。皆様をウィーンに誘う魅力タップリです。 ウィンナ・ワルツの伝統を保持する最後の指揮者  ウィーン・オペレッタ最末期の作曲家の一人として『春のパレード』などの作品を発表し人気を得たロベルト・シュトルツは、指揮者でオペレッ