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最初に聴く名曲名盤*交響組曲的楽しみ カラヤン指揮ベルリン・フィル ヨハン・シュトラウス「ワルツ・ポルカ・マーチ集」

通販レコードのご案内 カラヤンが自伝の中で「血の中を流れている」と語る楽曲たち ― ザルツブルク生まれでウィンナ・ワルツにも精通していたカラヤンならではのスケール感やリズムの切れ味、洒落た表情などに満ちたひとときが味わえる演奏です。

DE DGG 644 003 ヘルベルト・フォン・カラヤン シュトラウス・「ワルツ・ポルカ・マーチ集」《独ブルーライン盤》DE DGG 644 003 ヘルベルト・フォン・カラヤン シュトラウス・「ワルツ・ポルカ・マーチ集」 喜歌劇「こうもり」序曲は全曲盤を含めて9回録音をしている。スタジオ・セッション録音で公式リリースされたレコードで、これほど同曲を繰り返してレコーディングしているのはカラヤンより他にはいない。
 ヨハン・シュトラウスは喜歌劇「こうもり」で一躍時代の寵児になりますが、歌劇を作曲してこそ宮廷音楽家に認められなかった。ウィンナ・ワルツは幾つものメロディーをつなげたポプリ形式のおおらかな作りですが、「皇帝円舞曲」の場合、もう少し細かいユニットに別れていて、「威厳をたたえた部分」と「おしゃれでチャーミングなメロディユニット」の対比が第1主題、第2主題として聴くことで交響曲の一つの楽章に思えてきます。ヨハン・シュトラウス2世はブラームスとの親交が深く、ブラームスの得意とする音楽ジャンルは犯すまいと心に決めていました。
 晩年、歌劇「騎士パズマン」を作曲しウィーン宮廷歌劇場(現在のウィーン国立歌劇場)で初演。名実ともに音楽史に残る作曲家と認められます。《皇帝円舞曲》はシュトラウスの晩年のワルツの中では最も人気のある楽曲と認められており、彼の「10大ワルツ」の一つに数えられている。シュトラウスの大親友だったヨハネス・ブラームスは、シュトラウスは年老いてから創造力が減退したと思っていた。二重和声が付けられたシリーズや、普段から簡単な曲ばかりを作曲しているにも関わらず、わざわざ「誰でも弾けるピアノ曲集」などと銘打ったシュトラウスの晩年の作品群をブラームスは嫌っていた。しかしこのワルツ《皇帝円舞曲》については非常に好意的にとらえ、「これは管弦楽法がすばらしいので、見事に鳴るんだ。しかし結局、魅力の秘密なんか考えてもしょうがないな。」などと語り、このワルツの楽譜がジムロック社から出版されることを喜んだという。
 楽団が総勢100人という大構成で演奏する曲でもあり、SPレコード時代から名指揮者の名演盤が数多い。フィルハーモニア管弦楽団時代から、ウィーン・フィルともカラヤンはヨハン・シュトラウス2世のワルツ集を録音しているが、アナログ録音だった1969年の時は2枚のアルバムとしての発売でした。1980年になってベルリン・フィルとの2度目のレコーディングはデジタルで行った。デジタル録音ではそれが3枚のアルバムとなった。しかしCD時代に入って混乱が起こっている。ベルリン・フィルの演奏で、どちらもギュンター・ヘルマンスがエンジニアだったことで、デジタルで録音しなおした音源とアナログ時代の音源が錯綜。加えて、《愛の使者》、《天体の音楽》、《浮気心》の3曲はアナログ盤では当時発売されず、1997年の CD 化にあたって初めて追加して発売された。慮るにカラヤンの心中如何ばかりか。
 なんであれポルカ・シュネルですら優雅さを重視していてカラヤンが自伝の中で「血の中を流れている」と語っているのに違わず、楽曲たちには重視したことを徹底した完成した優雅さがあります。カラヤンの思い入れが強いほど感じられる。カルロス・クライバーの下品な演奏以来、激しいパッセージでベンチマークを競うようになってしまった『雷鳴と電光』もカラヤンらしい緩やかなテンポ解釈には完成された優雅さと、ゆとりの時代を感じられる。
録音:1966年12月ベルリン、イエス・キリスト教会
■ステレオ録音、優秀録音、名演。

http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-20037.jpg
March 28, 2020 at 02:00AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1046010.html
via Amadeusclassics

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