全体的には悠然としたスタイルで、クレンペラーその人の芸風を間近に感じる。
英EMIの偉大なレコード・プロデューサー ウォルター・レッグは、1954年に目をかけていたカラヤンがベルリンに去ると、すぐさま当時実力に見合ったポストに恵まれなかったクレンペラーに白羽の矢を立て、この巨匠による最良の演奏記録を残すことを開始した。レッグがEMIを去る1963年まで夥しい数の正に基準となるようなレコードがレッグ&クレンペラー・フィルハーモニアによって生み出された。本盤も基準盤の一枚で、レッグの意図する処がハッキリ聴き取れる快演。クレンペラーの解釈は揺るぎのないゆっくりしたテンポでスケールが大きい。ゆったりとしたテンポをとったのは透徹した目でスコアを読み、一点一画をおろそかにしないようにとも思いたくなる。この気迫の籠った快演は聴き手に感動を与えずにはおきません。また何度聴いても飽きません。フィルハーモニアはまさにクレンペラーの為にレッグが作り出した楽器だと言う事、しみじみと感じました。一音一音が耳に突き刺さってきました。
オーケストラの配置が第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが指揮者の左右に配置される古いスタイルで包み込まれるような感覚は、ステレオ録音で聴く場合には、やはり和音の動きなどこの配置の方が好ましいような気はするが。何ものにも揺るがない安定感と、確かに古いスタイルながら純粋にスコアを再現した音が、本盤には一杯詰まっている。本盤聴くとクレンペラーによってベートーベンの隠れていた音符が一音一音浮かび上がってきます。
この時代はモノラル・テイクとステレオ・テイクが同時進行していました。モノラル・セッションはダグラス・ラター、ステレオはクリストファー・パーカーと違うプロデューサーが其々担当していました。
通販レコードのご案内 定評あるベートーヴェン全集
《英モノクロ切手ドッグ盤》GB EMI SLS788/9 クレンペラー ベートーヴェン・交響曲全集 1958年から64年にかけて録音された全集&序曲集だが、交響曲は1958年から61年の間に録音されており、クレンペラーの戦後黄金期の作品。クレンペラーらしい揺るぎのないゆったりとしたテンポとがっちりとした構築性に満ちた全集です。重厚なベートーヴェンを聴きたいなら、いまだにファーストチョイスとなる名盤。ベートーヴェン/交響曲第1番~第9番、序曲「レオノーレ」第1番~第3番、「フィデリオ」、序曲「プロメテウスの創造物」、序曲「コリオラン」、序曲「献堂式」、序曲「シュテファン王」、劇付帯音楽「エグモント」の音楽。
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February 28, 2020 at 02:00AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1115948.html
via Amadeusclassics
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