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バッハが生きていた時代のヴァイオリンに魅了されて★セルジウ・ルカの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

通販レコードのご案内ヴァイオリン一本から、その大きな広がりを表現する小宇宙。

US nonesuch HC-73030 セルジウ・ルカ バッハ・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
US NONESUCH HC-73030
(演奏者)セルジウ・ルカ
(曲目)J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」の古楽器による世界初録音として話題になったルカによる70年代の貴重な録音です。バロック時代のオリジナル楽器(1669年ニコラ・アマティ製)を当時の弓と奏法で演奏。発売時驚きを持って迎えられた貴重盤です。


現代では様々な古楽器録音が存在するとはいえ、”無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ”の録音の歴史は決して古くはない。ヴァイオリン奏者としても名高かったピゼンデルのために書いたのではないか、とも推定されていて、練習曲扱いを長年されていた。バッハ自身の自筆譜のタイトル・ページには「無伴奏ヴァイオリンのための6曲の独奏曲、第1巻」と記されている。典型的な教会ソナタの形式をとっている「ソナタ」と、組曲の形式をした「パルティータ」が交互に並んでいる。白眉なのが、パルティータ第2番の5曲目「シャコンヌ」です。「シャコンヌ」は変奏曲形式による舞曲。当曲はブラームスによる左手の練習のためのピアノ版、フェルッチョ・ブゾーニによる両手のためのピアノ版、レオポルド・ストコフスキーや斎藤秀雄による管弦楽版など様々に編曲されている。「第1巻」とあるが、「第2巻」というのは「無伴奏チェロ組曲」のことである。


古楽器で演奏されるJ.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全集」の先駆となった。アメリカで活躍するルーマニア出身のヴァイオリニスト、セルジウ・ルカ(1943〜2010)は同年齢のクレーメル、パールマンのような表舞台に立つことはなかった人生でしたが、誰よりも早く古楽演奏に関心を示した演奏家でした。有名な シギスヴァルト・クイケンに先立つこと4年前の1977年に、ピリオド楽器によるこの録音を残しました。彼の奏法はボウイングの美しさを基調に、和音が自然に混ざり合う極めて美しい演奏。アタックの確実さや音程の良さもあり、後のヨーロッパの古楽奏者の奏法よりむしろモダン楽器に近い響きかも知れません。バッハが生きていた時代の楽器を知るなかで、そのヴァイオリンの特性に惹かれ、J.S.バッハの音楽を無前提で再解釈しようと、独自の研究の末に、1970年代後半になって初めて、完成させた本録音の凄みは、懇切丁寧なルカ自身の解説にも滲み出ている。古楽演奏における反復時の即興的装飾など、独自の視点から分析した様子をうかがい知ることが出来ます。


「演奏面から見ると、シャコンヌはある種のジャズ―リズム・セクションに補強された固定されたバスを持ち、それを出発点として旋律楽器(トランペット、サクソフォーン、クラリネット)が名人芸的な即興を展開するタイプのジャズ―に似ていなくもない。」


テーマは一切変えることなく、プレイしあうお互いを意識して演奏していくジャズ。わたしが愛聴している日本人女性ヴァイオリニストも書いていたことに共通するようだが、ルカは、即興ではないが、即興している意識を以って、バッハの音楽に対峙しているということ。古楽器ですが現代的な演奏様式も取り入れてあり中庸の美しさがあります。自己精神を高めんとするような、囁くようなバッハです。枯れた古楽器の響きも耳に心地いい。バッハの無伴奏といえば1967年録音のシェリングの、きりりと引き締まって純粋で豊かな演奏は、地平線の先の先まで広がっていく透明感が素晴らしい絶対的存在としてありますが、それぞれを交互に聴き込んでいると、この曲の良さがしみじみと心に染み入ります。2010年12月に惜しまれつつ他界したルカは録音自体が少ないため、今回の盤は非常に貴重。この曲の全てのファンの方に一聴をお勧めします。

1977年録音。解説書付き。


http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-20941.jpg
February 27, 2020 at 01:45PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1115895.html
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