通販レコードのご案内 今言う常套句のフランス風ではなくてフランス流儀の充満した雰囲気。それはクリュイタンス以降、フランスで失われた響きである。
《英ラージ・ドッグ・セミサークル金文字盤》GB EMI ALP1408 クリュイタンス ベートーヴェン・交響曲6番「田園」 クリュイタンスはフランス人ではない。お隣のベルギーはアントワープに生まれ公用語のフランス語以外にドイツ語も学んだ事からドイツ的な素養も身に付けていた。その為か彼がそもそも名声を得たのは1955年にフランス系として初めてバイロイトに登場したという経緯からしてベートーベンやワーグナーだった。そのせいかアンサンブルに雑なフランス人の指揮者に比べこの人の演奏は合奏が実にしっかりしているし、非常に計算し尽くされた響きのバランスに驚かされてしまう。まずはこの辺が仏パテ社を唸らせ、数々の名盤を算出し、それらを普遍的なものにしている要因だと思う。
もちろんフランス的な色彩感覚も抜群に素晴らしい。これほど色彩的な精緻さでクリュイタンスを越える演奏はちょっと他では見当たらない。なんでこんなに優雅で精緻で色彩感があるのだろう。陶酔感があるのだけど、つねに制御を失わず、熱狂的になっても理性を失わずエレガント。
最も貴重なのはパリ管弦楽団とのラヴェルの管弦楽曲全集。ルーセル、ドビュッシー、フォーレ、ビゼー。名盤揃いで挙げ出したらきりがない。ベルギーの作品もフランクの交響曲、交響詩集が有る。フランクがワーグナーなどのドイツ音楽に傾倒していたことを思うとリストの作品かと思うような豪華な曲が多く、一瞬戸惑いますが、たまにはこうした珍しい曲も面白いのではないでしょうか。クリュイタンスはさすがに上手い。クリュイタンスの卓越した力量を感じさせフランクの巧みな対位法による旋律を上品で端正な響きと歯切れの良い演奏を展開しています。
しかも巧妙にドイツ系の曲目はベルリン・フィルハーモニー弦楽団を起用するケースが多かったが、本盤は祖国のベルギー国立管弦楽団とアルト・チッコリーニのピアノとの共演で、どうにも言葉にするのが難しい個性と雰囲気を持っていて独特の質感としか言い様が無い何かを表現している。当時のフランス音楽界はクリュイタンス一人が背負っていたといってもよいかもと思えるほど凄い。どれひとつとっても見落とすことの出来ない貴重盤。
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February 28, 2020 at 05:30PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1043498.html
via Amadeusclassics
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