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〝コルトレーンをはじめて聴いた時のようだ〟とジャズ・マニアも感激した、ミュンシュ&ボストン響のブラームス・交響曲4番

通販レコードのご案内多少コスモポリタン的な傾きはあるが、全く現代的で、緊迫度が高く簡潔緻密。尻上がりに油が乗ってくる。ワルターとは逆の手法で成功したものといえよう。

US RCA LSC2297 ミンシュ・ボストン響 Brahms Symphony No.4
US RCA LSC2297
(演奏者)シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団
(曲目)ブラームス 交響曲4番

EMI盤として有名な幻想交響曲や交響曲1番の超名演に先駆ける快演。RCA一軍制作陣リチャード・ムーア/ルイス・レイトンが担当していますから録音もステレオ黎明期と思えない位に優秀。


ドイツ系の名指揮者シャルル・ミュンシュにとって重要なレパートリーだったブラームス。特に第1番と第2番の交響曲は偏愛と言っても良いほど、演奏を繰返しました。ミュンシュはベートーヴェン同様、ブラームスの交響曲も〝第3番〟を同時期にフリッツ・ライナー&シカゴ交響楽団が米RCAに録音していたので、全集も完成していない。ボストン交響楽団時代には〝第3番〟を除く交響曲、悲劇的序曲、2曲のピアノ協奏曲の録音があるのみ。ドイツ風な重厚さよりも一体に速いテンポで、ぐいぐい運んでいく直線的なダイナミズムを重視したその解釈は、陰鬱なブラームス像を好まない音楽ファンから熱狂的に支持されています。集中力が強く、色彩感も旋律線もあくまで鮮明、まことに独自なものなのである。交響曲第1番のステレオ録音盤は、音の出が威圧的とも言える迫力満点のもので聴き疲れするほどの充実。交響曲第2番はお得意のもので濃厚なロマン的表現、トランペットの強奏はワーグナーのようです。ミュンシュと言えば必殺のフェルマータ延ばしが、ここでも楽しめます。そして〝第4番〟はヴィルヘルム・フルトヴェングラー張りのテンポ変化、逆上的な感情の迸りが聴きものです。


本盤はシューベルトの交響曲第2番、シューマンの交響曲第1番と並んで、ミュンシュがボストン響時代にモノラルとステレオで録音を残した交響曲の一つ。録音という行為そのものが今日のように手軽でなかった時代に再録音を行うということは尋常なことではなく、レコード・セールスへの期待もさることながら演奏者の側にも強いこだわりがないと実現できなかった。その意味で、この〝第4番〟にはミュンシュの作品に寄せる愛情がにじみ出た演奏になっており聴き応え満点だ。ミュンシュのボストン響時代の名演のひとつ。ボストン響の緻密で洗練されたアンサンブル、特に美しい弦楽合奏と輝かしい金管パートを基本にして、明快なブラームス像を描いています。作品に真正面から取り組み、激しい燃焼度で突き進んでいく若々しさと、壮大なスケールで音楽を高潮させてゆく手腕はミュンシュの真骨頂。ライヴ演奏に見られる熱狂とは違った、抑えがたい情熱が渦巻いている。特にフィナーレで沸騰点に達するパッションは、他からは聴くことが出来ません。ブラームスに渋さを求める人向きではないが、明快で爽快なブラームス像が堪能できるはずだ。

1958年10月27日ボストン、シンフォニー・ホールでのセッション、ステレオ録音。


http://img01.otemo-yan.net/usr/a/m/a/amadeusclassics/34-23749.jpg
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via Amadeusclassics

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