大名人ルービンシュタイン誕生 ― 1887年1月28日
この日が誕生日のアルトゥール・ルービンシュタイン(1887〜1982)は、誰からも愛される“アイドル”であり続けたヴィルトゥオーゾだ。デビューは7歳だったから、82年の演奏歴は最長記録ではあるまいか。華やかで親しみやすい演奏同様、いつもダンディで愛想が良く、コンサートホールの聴衆から拍手喝采を浴び続け、女性にもてまくった。稀に見る幸せな巨匠と言うしかない。ルービンシュタインは非常に幅広いレパートリーを持っていた。老齢を迎えてもテクニックは衰えることを知らず、ベートーヴェンからスペインの民族風の音楽まで、華麗で堂々とした芸風を披露し、豊かな詩情と優しい情感溢れる演奏で聴き手を包み込んだ。彼の名演を代表するショパンのポロネーズ第6番《英雄》にしても、「どう? 素敵な音楽でしょ」と、音楽の喜びを惜しげもなく人々に分かつ与えてくれた大名人の温かい笑顔を思い起こさせる。
聴衆はショパンの音楽の本質に「ポーランドらしさ」を求めた
ポロネーズは古い宮廷用のダンスであったが、このリズムの寿命はショパン以前に終わってしまっていた。それを再びとりあげたのはウェーバー。それに更に輝きを与えたのがショパン。彼のポロネーズの中にはポーランドの悲哀と栄光とが流れている。ショパンは全生涯に、協奏曲を除いてピアノ独奏曲しか書きませんでしたが、ソナタ、バラード、スケルツォ、前奏曲、夜想曲、マズルカ、ワルツ、ポロネーズ、即興曲など非常な多作です。この《英雄》は《軍隊ポロネーズ》と並んで、ポロネーズ曲集中の双璧である。ショパンは、よく祖国愛に燃えた作曲家と言われますが、ロシアに占領された祖国ポーランドに思いを馳せながら作曲したと見て良さそうです。
次々と銃弾に倒れていく革命の労働者たち
ショパンが亡くなる1年前の1848年、フランスでは2月革命が勃発していた。かつてショパンと深い関係を持ったフランスの女流作家ジョルジュ・サンドは、当時小規模な新聞を発行しており、エッセイ等で政治的なメッセージを精力的に発信していた。次々と銃弾に倒れていく革命の労働者たち。彼女はショパン『ポロネーズ第6番変イ長調』を聴きながら、ショパンへの手紙の中で次のように書き記したという。L'inspiration! La force! La vigueur! Il est indéniable qu'un tel esprit doit être présent dans la Révolution française. Désormais cette polonaise devrait être un symbole, un symbole héroïque!
霊感!武力!活力!疑いなくこれらの精神はフランス革命に宿る!これより、このポロネーズは英雄たちの象徴となる!
霊感!武力!活力!疑いなくこれらの精神はフランス革命に宿る!これより、このポロネーズは英雄たちの象徴となる!
ショパンは自身の作品に副題をつけることを嫌っていたが、フランス革命当時の知識人や演奏家らはこぞって同曲を「英雄ポロネーズ」として喧伝していったそうだ。
http://recordsound.jp/images/item/w270/17300/17211_1.jpg
January 28, 2020 at 12:00PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1022484.html
via Amadeusclassics
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