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肩のこらない好盤◉レナード・バーンスタイン ニューヨーク・フィル バーンスタイン・名曲集

通販レコードのご案内 この手の小曲集に関してバーンスタインは確かに演出力ではカラヤンの足元にも及ばなかったが明るい曲で示される天衣無縫な躍動感は欧州系指揮者にない魅力だ。

US COLUMBIA MS6988 レナード・バーンスタイン バーンスタイン・名曲集《米 2EYES〝360 SOUND〟白文字盤》US COLUMBIA MS6988 レナード・バーンスタイン バーンスタイン・名曲集 ハイドンの交響曲第88番が発売されたのは1969年となったが、その録音の直後にマーラーの交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」だけの録音を挟んで本盤のセッションが組まれている。晩年のレナード・バーンスタインはもちろん魅力的である。たっぷりと思いを込めた ― 粘着質といいたいところだが、粘ってもてベタついた感じが全然しない ― ところは、同時代のヘルベルト・フォン・カラヤンやジュゼッペ・シノーポリとは異なっているようでいて共通する部分も感じられる。
 ピアニスト、指揮者、作曲家のいずれであろうとバーンスタインは音楽の世界の色を変えました。「オン・ザ・タウン」によってブロードウェイで初めての素晴らしい成功を収め、「ウエストサイド・ストーリー」は世界的なヒットとなりました。音楽ジャンルの境界線を破り輝く指揮者となり世界中の観衆を驚かせ、彼が登場する場所では〝レニー〟の愛称でもって愛情と賞賛に歓迎された、魅力的で音楽的な天才といえるでしょう。この手の作品演奏に関してレニーはよくカラヤンと比較されて文句をつけられたものである。確かに演出力という点ではカラヤンの足元にも及ばなかったが、明るい曲で示される天衣無縫な躍動感には欧州系の指揮者にはない魅力がある。
 晩年になるにつれ感情の高まりだけでなく全体へ細心の注意を払いながらも、演奏者と聴き手を高みへ誘導していくバーンスタインのスタイルが確立していきますが、然し、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団の音楽監督に就任した当時のバーンスタインには、それとは違う特別な魅力がある。爽やかで楽しく、ワクワクする演奏だ。バーンスタインが1950年代から1970年代にかけてCBSに残した録音は、作曲家としての複眼的視点で緻密にアナリーゼされた解釈をもとに音楽の喜びを全身全霊で伝えようとする情熱に満ちている。
 この時代のニューヨーク・フィルハーモニックには、フルートのジュリアス・ベイカー、オーボエのハロルド・ゴンバーグ、クラリネットのスタンリー・ドラッカー、ホルンのジェームズ・チェンバーズ、トランペットのウィリアム・ヴァッキアーノ、打楽器奏者のソール・グッドマン、ウォルター・ローゼンバーガーらが名手として名高い。
 コンサートマスターはジョン・コリリアーノ、デイヴィッド・ネイディアンであった。本盤のグローフェでのヴァイオリン・ソロは作曲家、ジョン・コリリアーノの父の方のコリリアーノ。
 1958年から1973年までバーンスタインが担当した『ヤング・ピープルズ・コンサート(Young People's Concert)』は、斬新なテーマの選定だけでなく楽曲の選定と構成、台本執筆とも自身で行っている充実した内容は、啓蒙家バーンスタインの面目躍如たるシリーズであり、彼の汎ゆる情熱と才能が指揮活動に向けられていた時期。バーンスタインの華麗な指揮と明快な音楽解釈、そして何より豊かな音楽的才能は大編成による豊かな表情と振幅の大きなダイナミズムを特徴とするものですが、ニューヨーク・フィル時代は音楽づくりがまだ率直なこともあり、勢いの良さとリズミカルな楽しさが聴きものともなっています。
〝グレーテスト・ヒッツ〟を、同時代のアメリカの商業ロックに重ねて聴くのがいいだろう。つまり〝名曲集〟よりパフォーマンス。サーヴィス精神にあふれたバーンスタインならではの愉しく、それでいて深みも忘れない名演集です。加えて、アナログ録音初期~最盛期の米コロンビアの鮮明かつ精細でワイドレンジの〝360サウンド〟を心行くまで堪能できます。

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October 31, 2019 at 03:45PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1081311.html
via Amadeusclassics

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