通販レコードのご案内 食い足りなさを感じないオーケストラ・ピースに徹した演奏。ヴィーラント・ワーグナーを感激させたエピソードでも知られる有名な録音をセットに。どれも強い表現意欲に突き動かされたような名演ばかりです。
《カラー切手ドッグ盤》GB EMI ASD2695/7 オットー・クレンペラー ワーグナー・管弦楽曲集(全集) 迫力満点で極限的なスケールが終始維持されている上に、透明で深い静謐感を持った弱音も意味深く、ここで繰り広げられている音楽世界に陶然とすることしか出来ないワーグナーの序曲、前奏曲集の極めて素晴らしいレコードだ。二十代の頃から『ニーベルングの指環』を指揮していたクレンペラーにとって、ワーグナーは得意のレパートリーでしたが、戦後は怪我や病気が災いしてなかなか運に恵まれず、ステレオで残されたいくつかの録音は実に貴重といえるものです。
クレンペラーはオペラ劇場の指揮者であったから、こうしたアイデアは手練れていただろう。しかし、レコードで序曲、前奏曲だけを繰り返し聞かれることを充分に考慮した自己に厳しい指揮者らしいオーケストラ・ピースに徹した演奏なので、ワーグナーの「全曲録音が残っていればなあ!」と慨嘆させる悔いたりなさを感じない。各面の取り合わせは EMI のレコードセールス面での要望もあっただろうが、第1集から第3集まで、曲の並びにまでクレンペラーの意思が貫かれている。CDでは、LP3枚分を2枚に、曲順を変えている。他の盤で発表された、《ジークフリート牧歌》と《ジークフリートの葬送行進曲》を、この4曲の流れに挟んでいるのは勢いを削いでしまって残念だ。
製作時の指揮者やプロデューサーの趣味の良さが出た各面の選曲をそのままに楽しめる。また、このセットはボックスではなくて、ここに発売された通りの3枚セットです。
フルトヴェングラーやクナッパーツブッシュのオペラ上演を彷彿する劇場ライヴの籠り音に陶酔するのもワグネリアンの楽しみだが、ワーグナーは求める重層音の目標効果が巨大すぎて、残響も無く、集音マイクのバランス調整をするスタジオ録音では演出しきれない課題に果敢に挑戦。それをクリアしていることもレコード芸術として最大に評価できる。しかし、いささか明瞭すぎるやもしれぬがワーグナー自身はベネチアのクリスタルをイメージして作曲していたことを知るワグネリアンにとっては、これも然りとニヤリと表情が和む。本能的な官能に流れないワーグナーだ。
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July 30, 2019 at 06:30AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1005354.html
via Amadeusclassics
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