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高麗青磁の危ういまでにつきつめた美しさ*チョン・キョンファ ラドゥ・ルプー フランク/ドビュッシー・ヴァイオリンソナタ

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GB DECCA SXL6944 チョン・キョンファ フランク/ドビュッシー・ヴァイオリンソナタ《英ナローバンド ED4 盤》GB DECCA SXL6944 チョン・キョンファ フランク/ドビュッシー・ヴァイオリンソナタ ティボーは別格として、ここには絶好調の頃の彼女の壮絶な美しさがある。その切れるような美意識と鮮やかな情感で光の中を駆け抜けるように通り過ぎていく音楽。チョン・キョンファ(鄭京和)、29歳の時に録音されたこのソナタ2曲は少々線の細い音質ではあるが女性的な繊細さと彼女ならではのダイナミックさが感じられる。
 鄭京和が日本に登場したのは1971年のプレヴィン指揮ロンドン交響楽団来日公演のソリストとして前年に DECCA に録音したばかりのデビュー・アルバム、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を引っさげての登場だった。東洋人の少女が世界レーベルで録音したことは、当時においては眼を見張ることだった。日本からも多くの若手ヴァイオリニストを輩出していたものの、ヨーロッパのメジャー・オーケストラとの共演、ましてレコーディングなどは、まだまだ考えにくかったから当時の日本の音楽関係者は必ずしも韓国の新進女性ヴァイオリニストを素直には歓迎できなかったようです。
 しかし「レコード芸術」等の音楽雑誌に掲載されたチョン・キョンファに関する記事を読んでいて感じたものは、諏訪内晶子さんがチャイコフスキー国際コンクールで優勝し蘭PHILIPSから素敵なレコードが発売された時も似ていた。何かと嫉妬もあるのでしょうが、『音楽家』として見れないものでしょうかね。
 1977年ロンドンでの録音。この演奏は、まさに高麗青磁の危ういまでにつきつめた美しさを想わせるものです。ラドゥ・ルプーのピアノがまたとてもよい。ヴァイオリンの音色に寄り添うことに徹底している。その暖かい和声の光は、冷たいまでに硬質で精密な肌合いのチョンの美音をほのかに浮かび上がらせる。そして、そのリリシズムに満ちた響きが、次第にチョンの感情を高ぶらせ激情に狂わせているのです。
 だからといって、その音楽はあくまでも気高く気品に満ちています。それがドビュッシーだから尚更感じられることになったのでしょうが、これがリードとサポートでしょう。
 チョン・キョンファ29歳の時に録音された、高麗青磁の危ういまでに線の細い硬質な音質ではあるが女性的な繊細さと彼女ならではのダイナミックさが感じられる。

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