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軽やかでありながら華麗、しかも燃えるような情熱を内に秘めた唯一無二のパフォーマンス*リパッティ・プレイズ・ショパン

現代でも高い支持を得ているモノラル録音!


CDはアマゾンで購入できます。

リパッティの遺した名盤のひとつ。
数あるショパンの『ワルツ集』の中でも
ひときわ光芒を放っている逸品。
《バルカロール》といい《ノクターン》といい、
レコードの数は実に多いのであるが、
雅歌ある情感で、
しかも現代のわたしらに心から共感できる
みずみずしいショパンも珍しい。


ピアノ・リサイタル(クラシック・マスターズ)
ディヌ・リパッティ
ワーナーミュージック・ジャパン
2014-07-16


JP COLUMBIA OL3103 ディヌ・リパッティ ディヌ・リパッティ第5集

夭折の天才が残した、歴史的にも貴重な記録。

不朽の名盤《1960年10月発売日本コロムビア社製》JP COLUMBIA OL3103 ディヌ・リパッティ ディヌ・リパッティ第5集

 ショパンの晩年の名作4曲を集めたこのレコードは、1940年代の録音ではあるが、80数年を経た今もなおLPではこれらを凌ぐ演奏が出てこない。《ソナタ第3番》の磨き抜かれた演奏ぶりはこの上なく美しいが、正直に言って多少淡白すぎる点がないではない。しかしB面の3曲は、聴けば聴くほど驚嘆しないではいられない文句なしの名演奏ばかりだ。《バルカロール》といい《ノクターン》といい、レコードの数は実に多いのであるが、これだけ詩的な、気品の高い弾きぶりで、しかも現代のわたしらに心から共感できるみずみずしいショパンも珍しい。野暮ったいところが少しもなく、また師匠コルトーのように崩さないできっちり弾いているが、それぞれの雅歌ある情感は残さず表わし尽くされている。1950年に33歳で惜しくも夭折したリパッティがいかに完璧なテクニックを持ち洗練されたスタイルを駆使したか、またいかに優れた音楽性と円熟した表現力とを身に着けていたかを物語る名盤として、録音こそ古いけれど貴重な一枚である。リパッティのショパンは、このように実にすっきりとしている、しかも充実した華やかさを内に宿しているのが特徴であった。1960年10月発売日本コロムビア社製英国EMIからの輸入メタル使用盤、モノラル録音。
1947年3月1,4日(ソナタ)、2月20日(ノクターン第8番)、1948年4月17,21日(バルカロール)にロンドン、アビーロードスタジオでのセッション録音。1950年7月3-12日(マズルカ第32番)にジュネーヴでのスタジオ録音。
 リパッティの遺した名盤のひとつ。数あるショパンの『ワルツ集』の中でもひときわ光芒を放っている逸品。
 フランスで身に付けた華麗さや洗練さと、ラテン的な情熱が絶妙なバランスを保っている。
 これがモノ録音しか聴くすべが無い現代でも高い支持を得ている要因では無いかと結論づけては早計でしょうか。

レコード詳細・コンディション

JP COLUMBIA OL3103 ディヌ・リパッティ ディヌ・リパッティ第5集
JP COLUMBIA OL3103 ディヌ・リパッティ ディヌ・リパッティ第5集

濃青銀文字, MONO (140g), 1960年10月発売日本コロムビア社製 XAX-10022 輸入メタル使用盤。


プロダクト

Dinu Lipatti Plays Chopin
レコード番号
OL3103
作曲家
フレデリック・ショパン
演奏者
ディヌ・リパッティ
録音種別
MONO

コンディション

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX+
製盤国
JP(日本)盤

リパッティは録音が良くない、ピアノの音色がわからないなどと言う人もありますが…


 令和2年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。後の明智光秀が主人公で、十兵衛と名乗っていた頃。斎藤道三との対面シーンから撮影はクランクインしたそうだ。2人が対面する直前の斎藤道三の登場は、常在寺の住職・日運が道三の正室である小見の方の病気平癒のため、献上した珊瑚の玉を数珠を作るためにかたちの揃った玉を小姓に仕分けさせているところからはじまる。そこで、リパッティのレコードの音が脳裏に浮かんできた。粒のそろった真珠玉が転がるような玲瓏にして高貴なピアノ。リパッティは録音が良くない、ピアノの音色がわからないなどと言う人もありますが、この日本初出盤はそんなことはなく、リパッティがどのような音色を持ったピアニストであったのか、はっきりとわかります。重厚な低音、鮮やかな中音、玉を転がすような高音と、音域ごとに優れたバランスがあります。ベーゼンドルファーか、スタインウェイか、録音に使用されたピアノははっきりしませんが、弦がハンマーで叩かれていることをイメージさせないベヒシュタインの響きは立体的な音の遠近も奏でられる特色がありますが、SPレコード録音は、テープ録音と比較はできませんが、年代を考えればむしろ優秀録音と言えます。
 リパッティが、20世紀のピアノ演奏史に燦然と輝いているのは、単に残された数少ない録音の素晴らさからだけではと思います。リパッティは録音に対しては何時も真剣で一枚のレコードが完成するまでは何度もテイクを重ね、それがより完成度を高めて、結果として強い説得力を生んだと云われている。
 33歳で夭折した天才、リパッティが遺した歴史的録音で、自身の行く末を知っていたのか、時に疾走し、時にたゆたう緩急絶妙のテンポ変化はありますが、音楽の重心が低い。それも単に「低い」というレベルを超えていて、その揺るぎなさ、安定感は他のピアニストからは聴くことができない。手の大きさなど物理的な作用もあるのだろうが、それよりも内面によるものが大きい。地球ゴマの円盤が高速で回転運動を行っている間は、回転軸の向きが常に一定不変に保たれる。音楽がどんなに勢いをもって動いても、その奥底ではシンと静まりかえったものがある。その結果として生まれる瑞々しい歌と躍動感が作品と一体となった ― 作曲者と聴く者が直接向き合うかのように感じられる稀代の名演。
 彼のピアニズムを一言で言い表すとすれば、繊細、清潔、透明、端整といった表現が相応しいと思います。例えばブザンソンのライヴを聴いて居て感じることですが、既に迫り来る死を避けがたい運命と悟ってたと思われながら、そのような苦悩を微塵も演奏からは感じさせずに、常に聴衆の方を向いていたのではと思いたくなります。
 33歳で逝ってしまったことが、何故か、英国のジャクリーヌ・デュ・プレやイシュトヴァーン・ケルテス ― それぞれに病死ではありませんが、突然の最期として ― に重なりあう。リパッティの33歳の早すぎた死は、何枚も名盤量産するという輝かしい未来を奪い、歳月を重ねて到達する円熟の境地を与えなかったですが、このルーマニアの才能を惜しむ声は高まりこそすれ、一向に衰えずリパッティ初期盤収集に苦労します。
ディヌ・リパッティ(1917年〜1950年)は、ルーマニアのピアニスト、作曲家。 ブカレスト生まれ。アルフレッド・コルトーに魅入られて教えを受けるが、33歳でジュネーヴ郊外でこの世を去った。
 彼のピアノの特徴は、透明な音色でピアノを最大限に歌わせていることである。純粋に徹した、孤高なまでに洗練されたピアニズムは古今でも随一とされる。
死因は白血病といわれることが多いが、実際はホジキンリンパ腫である。演奏会の直前まで40度の高熱を出して病床に伏していたリパッティであったが、医師の制止を振り切り、強力な解熱剤の注射により、ようやく立ち上がることができるような状態で、よろめくようにステージに姿を現し、やっとのことでピアノのところまで辿りつくことができたという。しかし、この録音を聴く限り、そんな身体の状況などは微塵みじんも感じさせず、集中力の高いピアノ演奏には驚かされるばかりである。
 このレコードで聴ける、ショパンはレコード芸術の歴史上でも貴重な遺産である。


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