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イメージから程遠くドラマティック過ぎる◉フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル◯ベートーヴェン・交響曲6番「田園」

そこがフルトヴェングラーの悪い癖、いや、超スローテンポが次第に加速していく意思的な表現になっているところがフルトヴェングラーらしい。

 ピリオド楽器演奏や、ベートーヴェン時代の音楽習慣が研究されて、それを反映した現代の演奏に慣れきると、巨大なスケールに驚かされる。この曲の持つ一般的イメージからはほど遠い・深刻かつ重い表現です。
 極めて遅いテンポで、じっくりと始まって徐々に巨大に高揚していく。特に第1楽章と第2楽章は異様に思えるほどにテンポが遅い表現で、一部評論家からはフルトヴェングラーの「田園」はドラマティック過ぎるという評が昔出ていたほどだが、それも頷ける。しかし、音楽が停滞したりもたれると感じることは全く有りません。
 先輩格のニキッシュから習得したという指揮棒の動きによっていかにオーケストラの響きや音色が変わるかという明確な確信の元、自分の理想の響きをオーケストラから引き出すことに成功していったフルトヴェングラーは、次第にそのデモーニッシュな表現が聴衆を圧倒する。当然、彼の指揮するオペラや協奏曲もあたかも一大交響曲の様であることや、テンポが大きく変動することを疑問に思う聴衆もいたが、所詮、こうした指揮法はフルトヴェングラーの長所、特徴の裏返しみたいなもので一般的な凡庸指揮者とカテゴリーを異にするフルトヴェングラーのキャラクタとして不動のものとなっている。
 全く機械的ではない指揮振りからも推測されるように、楽曲のテンポの緩急が他の指揮者に比べて非常に多いと感じます。しかし移り変わりがスムーズなため我々聴き手は否応なくその音楽の波に揺さぶられてしまうのである。
 フルトヴェングラーはブラームスを評して「非常に客観的な音楽家」といい、「音楽における客観とは、音楽と精神、精神と音楽が結び付いてひとつになった時に起こるのである」といっています。この偉大な指揮者はブラームスの音楽は彼の哲学そのものであると喝破したのです。それは、そのままベートーヴェンにも当てはまり。それがドイツの交響曲に対する彼の表現方法なのだろう。
 ここでは弦楽器の美しいウィーン・フィルの特質が活き、十分に歌わせ柔らかく艶やかな音色が音楽に寄り添って、かつての田園風景に誘います。超スローテンポで始まる前半。第2楽章が特に遅い。一方、第5楽章は次第に少しずつ速くなっていってしまう。しかし、それはテンポを支える内容の濃さを持っている事にほかならない。
 フルトヴェングラーの音楽を讃えて、「音楽の二元論についての非常に明確な観念が彼にはあった。感情的な関与を抑制しなくても、構造をあきらかにしてみせることができた。彼の演奏は、明晰とはなにか硬直したことであるはずだと思っている人がきくと、はじめは明晰に造形されていないように感じる。推移の達人であるフルトヴェングラーは逆に、弦の主題をそれとわからぬぐらい遅らせて強調するとか、すべてが展開を経験したのだから、再現部は提示部とまったく変えて形造るというような、だれもしないことをする。彼の演奏には全体の関連から断ち切られた部分はなく、すべてが有機的に感じられる。」とバレンボイムの言葉を確信しました。これが没後半世紀を経て今尚、エンスーなファンが存在する所以でしょう。

通販レコードのご案内フルトヴェングラーだけが成し得た、人間感情の吐露が神々しさと凌ぎ合っているところに魅力を覚えるのです。

JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7239 フルトヴェングラー/ウィーンフィル ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」エレクトローラ・ブライトクランクシリーズ《エレクトローラ・ブライトクランクシリーズ盤》JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7239 フルトヴェングラー/ウィーンフィル ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 戦後のスタジオ録音でフルトヴェングラーの録音の中では音が良い。 ― 一概にフルトヴェングラーの音が悪いというのは、演奏された響きに対して録音の響きが浅いのだ。 ― フルトヴェングラーの EMI 録音のなかでは音の彫りが深く、ヌケが良くウィーン・フィルの弦楽、木管、ホルン等が美しく聴こえます。フルトヴェングラーの音に悩まずに済むレコードです。スタジオ録音。

プロダクト

品番
34-25716
レコード番号
AA7239
作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
オーケストラ
ウィーン・フィハーモニー管弦楽団
指揮者
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
録音種別
STEREO

1952年録音。

エレクトローラ・ブライトクランクシリーズ
20世紀を代表する巨匠、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886~1954)の録音は、すべてステレオLPが開発される1958年以前のもので、商業録音に関してはモノラル録音しか残されませんでした。1960年代にステレオLPが全盛期を迎えたとき、フルトヴェングラーの音源を所有する各レコード会社は、彼のモノラル録音のステレオ化を試みました。中央に集中するモノラルの音像を電気的に処理し、今日でいうサラウンドのような拡がりをもたせたものでした。EMI系の音源は、巨匠没後10年の1964年にドイツ・エレクトローラ社が「ブライト・クランク」と名付けた方式でステレオ化しました。このようなステレオを本来のステレオを区別するために「疑似ステレオ」と呼んでいます。
フルトヴェングラーの主要な録音はドイツ・エレクトローラ社のブライト・クランクによって疑似ステレオ化され、特にLP時代は広く普及していました。
カラヤンのように録音が大好きで、新しい技術に目がなく、貪欲だった指揮者と自身の録音をモニタールームで聴いていて、みるみるうちに機嫌が悪くなったという指揮者とは録音に向かう意識は全く違うとの市井の声はありますが、〝バイロイトの第9〟をきっかけにシフトを切り替えた、1953,54年のザルツブルク音楽祭ではフルトヴェングラー自身の提案によって、ステージ左右にセットされた3本ずつのマイクを通じて2チャンネルで収録されていた。マスターテープのスピードは76cm/秒(2トラック)で、録音エンジニアは巨匠の娘婿にあたるアルフレッド・クンツである。その「実験的」ステレオ録音は複数のテープレコーダーで録音された2チャンネル・レコーディング=ステレオ録音です。それら続々と実現していれば、この「ブライト・クランク」は実現しなかったか。ところがこの年、肺炎により死去。商業録音でフルトヴェングラーのステレオ録音は未到達に終わりました。
解説書で詳細に説明していますが「音の指向性」という特徴づけられている「疑似ステレオ」とは範疇を異にするものと定義しています。確かに自然なフルベンのステレオ音刻まれています。
フルトヴェングラーがEMI(HMV)に残した主要録音は1960年代に疑似ステレオ化されましたが、その中でも最も出来が良いと言われたのがベートーヴェンの交響曲第1番と第6番「田園」です。このふっくらと広がりのある再生音は、ウィーン・フィルの艶やかな音色と、ムジークフェラインザールの優れた響きにぴったりで、オリジナルのモノーラルとは異なった魅力で味わえます。

販売レコードのカバー、レーベル写真

  • JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7239 フルトヴェングラー/ウィー…
  • JP 東芝音楽工業(赤盤) AA7239 フルトヴェングラー/ウィー…
東芝音楽工業謹製「エレクトローラ・ブライトクランク」ステレオ盤, STEREO 1枚組(170g)重量盤, ドイツ・エレクトローラ同一スタンパー 2ZVH 使用盤。1970年以降製造中止「赤盤」。

コンディション

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX+
製盤国
JP(日本)盤

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。
  • オーダー番号34-25716
  • 販売価格2,000円(税込)
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