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英国DECCA録音の面目躍如☆鬼才指揮者の若き日の名演 マゼール指揮ウィーン・フィル チャイコフスキー・交響曲第4番

超能力の域。楽譜を熟知した指揮の緻密さは驚嘆すべきものがあった。

 30代のまだ若かったマゼールが、ウィーン・フィルを指揮してデッカにおこなったセッション録音。録音会場は、かつてデッカがウィーン・フィルとのセッション録音に多用したゾフィエンザールで、このホールでの収録時に顕著な生々しいサウンドが演奏の個性をいっそう引き立てています。
 早熟の天才として幼いころからヴァイオリン奏者として名を成し、ニューイヤーコンサートではボスコフスキー再来とばかりに弾き振り感動与えてくれました。彼の指揮のもとで演奏した、ウィーン・フィルの楽団員は記憶力の抜群な指揮者だったと当時を語っていた。譜面をめくること無く、頭のなかでめくりながら指揮をしているようだったという。
 ドラマティックな展開に富むこの曲を覇気あふれるタクトで、ぐいぐい引っ張るマゼールの力量が魅力。この曲のカラヤンの演奏はすごい。しかし、そのカラヤンに畏怖を感じさせていたであろうマゼールの音楽もまたすごい。
 そんな超才能は、早熟の天才所以もある。8歳で大学オケを指揮してデビュー、9歳でストコフスキーの招きでロサンゼルス・フィルを指揮、さらにトスカニーニに認められNBC交響楽団を指揮、ニューヨーク・フィルにもデビューした。その少年に対して練習中はわざと音を外して嫌がらせをする立派な大人たちに、マゼール少年はプロの指揮者としてその間違いを指摘し健全な人間関係を築いていったという。
 このウィーン・フィルとの録音の前に、ドイツ・グラモフォンでベルリン・フィルとの録音もある。30歳の史上最年少でバイロイト音楽祭デビューを飾った時の録音で、わずか数年前までフルトヴェングラーが指揮し、今は帝王カラヤンが君臨する天下のベルリン・フィルを相手にしている。その5年後、名匠カルーショーが(5番のプロデュースを最後に)身を引いた後のことだ。当時のレコード会社の協定では掟破り覚悟のギリギリといえる同一曲の録音をウィーン・フィルで敢行。英国 DECCA 社としてはカラヤンとの契約が継続できるか不安定要素だったのだろう。たとえ保険としてのマゼールの器用だったとして、チャイコフスキーの交響曲、協奏曲をまとまった形で今、私たちは楽しむことができているのは嬉しいことです。
「ffss」のロゴ・マークでも知られたその鮮明な響きは細部にこだわり抜くマゼールの芸風との相性も良く、通常では意識しないような細部の音型をシャープに立ち上がらせたり自在で俊敏なドライヴ感を克明に伝えるなど、当時のマゼールならではの魅力をいっそう際立たせていたように思います。
 チャイコフスキーの演奏は、ロマン派交響曲としてのスリルやダイナミズムを往年のウィーン・フィルの個性豊かな美しいサウンドで実現したユニークな内容を堪能できます。

通販レコードのご案内 GB Decca SXL6157 – Lorin Maazel – Vienna Philharmonic Orchestra – Tchaikovsky ‎– Symphony No.4

GB DECCA SXL6157 ロリン・マゼール チャイコフスキー・交響曲4番《英ED2 ワイドバンド盤》GB DECCA SXL6157 ロリン・マゼール チャイコフスキー・交響曲4番 チャイコフスキーは、録音が良いことは必須です。本盤は、クールかつクリアな雰囲気となっており、シベリウス同様チャイコフスキーにもピッタリ。朗々と鳴り渡る金管や明晰なティンパニなどは立派にロシアの雰囲気を醸し出している。決して明るすぎることのないシャープさは、けっして曲想から逸脱してはいません。英国 DECCA 録音の面目躍如といったところでしょうか。素晴らしい録音です。イギリス・プレス盤、ステレオ録音。
1963年9月〜64年10月ウィーン、ゾフィエンザールでのセッション録音。エリック・スミスのプロデュース、ゴードン・パリーの録音、優秀録音、名演、名盤
■ワイドバンド、ED2盤


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