ジョンの深い読みの解釈がベルリンフィルの団員を感動させ、一人の指揮者の音楽に対する共感がオーケストラという人間の集団を魔法に包んだ超一流芸術家の貴重な遺産。
第二次世界大戦中に、40歳代という指揮者としての大活躍が出来ただけに、長生きしてマーラーの交響曲全曲を完結して欲しかった。1943年に帰英後、ハレ管弦楽団の音楽監督に就任するが、戦前の腕達者の楽団員は戦争から帰ってこなかった。どれほどのオーケストラだったといえども指揮者だけでは何もならない。まずはオーケストラの立て直しからがバルビローリの仕事だった。しかし健全な男性奏者は集まりそうにない。バルビローリが前代未聞の女性楽団員を多く募って戦後の新制ハレ管弦楽団を再開する。「一日16時間の仕事」、「一日1食も珍しくない」といった勤勉ぶりで、技量やアンサンブルは超一流とはいかないがバルビローリ自らが採用したメンバーを含む心あたたまるサウンドは、感興の豊かさ初々しさは段違い。そうした彼の人生の一面。そこで、イタリア人の血とフランス人の血を受け継いでいるバルビローリの音楽は持ち前の甘いカンタービレで聞き手の脳髄を痺れさせる。劇場専門の指揮者の棒からは生まれ得ない音楽作りも大きな魅力である。
バルビローリが振るマーラーは、一級のオーディオファイル盤として通用する優秀録音だ。
バルビローリの魅力は情感豊かな演奏で、マーラーに関しては客観的な楽曲の構築と正確なテンポ設定に裏づけされています。そしてまた、ジョンの深い読みの解釈がベルリンフィルの団員を感動させ、一人の指揮者の音楽に対する共感がオーケストラという人間の集団を魔法に包んだ奇跡の証明を残されたレコードを聴いて感じるのです。
バルビローリの魅力が一杯詰まった聴きごたえ満載の不滅の名盤に耳傾けてください。このレコードからも“いっときも無駄にしないぞ”と懸命に生き抜いた気合の証左として、随所に「うなり声」が聴こえます。四面には、ジャネット・ベーカーの歌を加えて収録した「リュッケルトの詩による5つの歌曲」。こちらも、余白埋めでは済まされない名演です。
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《白黒切手ドッグラベル盤》GB EMI ASD2518-9 バルビローリ マーラー・交響曲5番/リュッケルト歌曲集 バルビローリにはベルリン・フィルの団員から請われて録音したマーラーの第九があります。バルビローリが振るマーラーは、一級のオーディオファイル盤として通用する優秀録音。バルビローリの演奏は情感豊かな演奏とよく言われますが、マーラーに関しては客観的な楽曲の構築と正確なテンポ設定に裏づけされた演奏だと思います。そしてまた、一人の指揮者の音楽に対する共感が、オーケストラという人間の集団を魔法に包んだ奇跡の証明とも思っています。 ジョンの深い読みの解釈がベルリンフィルの団員を感動させたとも聞いています。長生きしてマーラー全曲完結してほしかった。■1969年、ステレオ録音。
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November 30, 2020 at 06:00PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1021032.html
via Amadeusclassics
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