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フォルムのがっしりした極めて構築的な名演◆クレンペラー指揮フィルハーモニア管・ブラームス:交響曲第4番

通販レコードのご案内ぶっきらぼうな即物性の中に威厳と風格と古武士のような気概が交錯する。

 情緒に流されず音楽の各要素だけをスマートにまとめ上げているだけに外見は無愛想極まりないが、そこにシニカルなブラームスの憧憬と挫折感が胸に浸み込みます。第1楽章冒頭からクレンペラーとしては不思議なほど豊かな情感の示される演奏を聴かせており、改めてこの作品の巧みな書法に思いが至ります。演奏もそうした書法を強調するかのように個性的で、リズミカルな第2楽章や、スケルツォでの大パウゼなど聴きどころ多数。もちろん、終楽章での千変万化する素材と様式感の融合も見事なものです。クレンペラーの演奏は筋肉質で、色彩感覚が乏しいがバランスを崩さないどころか、絶妙のさじ加減でセピアなロマンティックに陥りがちな『第4番』を・・・だからこそか、一層魅力的に聴かせてくれる。クレンペラーのブラームスの4曲の交響曲の中で一番素敵だ。
 超スローテンポの中に漂う絶妙な香り。何ものにも揺るがない安定感と、確かに古いスタイルながら純粋にスコアを再現した音が、本盤には一杯詰まっている。各パートはクレンペラーらしい厳格さに満ちているが、全体の印象は厳めしいだけでなくロマンの香りも感じられる名演奏です。オーケストラの配置が第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが指揮者の左右に配置される古いスタイルで、包み込まれるような感覚はステレオ録音で聴く場合には、やはり和音の動きなどこの配置の方が好ましい。ゆったりとしたテンポをとったのは、透徹した目でスコアを読み、一点一画をおろそかにしないようにしていることで隠れていた音符が一音一音浮かび上がってきます。この気迫の籠った快演は聴き手に感動を与えずにはおきません。
 クレンペラーとフィルハーモニアの生み出したステレオ初期の名盤。初期盤としては稀なミント盤で、コレクターズ・アイテムにふさわしい逸品です。
ターコイズ・ラベルが初出。1956年11月、1957年3月、ステレオ録音。収録会場はロンドンのキングズウェイ・ホール。

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