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赤ステ初出盤◆濃厚なロマンティシズム リヒテル ヴィスロッキ指揮ワルシャワ国立フィル ラフマニノフ ピアノ協奏曲2番

通販レコードのご案内壮大なスケール感と彫りの深さ、ロシア的な力強い詩情とほの暗いパッション。

DE DGG SLPM138 076 リヒテル・ヴィスウォツキ・ワルシャワフィル ラフマニノフ p協2番(alle hersteller190gフラット重量盤初出)《独初期チューリップ赤ステ盤》DE DGG SLPM138 076 リヒテル・ヴィスウォツキ・ワルシャワフィル ラフマニノフ p協2番(alle hersteller190gフラット重量盤初出)
 ラフマニノフ自身の演奏を別にすれば、これほど作品の本質に迫った演奏はないだろう。第1楽章のスケールの大きさ、部厚い和音にいっぱいの心をこめてルバートを多用しつつ弾き進め、あらゆる部分が音楽に溢れている。これほど雰囲気豊かな演奏も少ないだろう。第2楽章は全曲中の白眉である。曲自体、甘美な失恋のやるせなさが心にうずくようであるが、そのような情感を他の誰よりも実際の音に託しているのがリヒテルなのだ、聴いていて何とも言えず淋しくなってしまう。暗い情緒がむせび、救いようもなく訴えかけてくるからである。
 フィナーレについては第1楽章と同じことが言えるが、ここでは生きたリズムと、氷のように冴えたタッチが殊更印象的だ。ヴィスロツキの指揮もリヒテルのピアノにぴたりと合わせ、遅いテンポによる雄大さと、暗い粘りの表情が見事だ。特に第2楽章がピアノと一体になった名演中の名演である。壮大なスケール感と彫りの深さ、ロシア的な力強い詩情とほの暗いパッション。
 リヒテルのこの演奏は、これらの要素が高次元で混然一体となった驚くべき例であろう。彼のラフマニノフへの並々ならぬ思い入れが、全楽章を通じてどっしりと伝わってくる名演であり、とくに第2楽章に現れた奥深いメランコリーなど、聴き手の胸を打ってやまぬところとなっている。すべてが深く大きく量感に満ちたラフマニノフ。名演・名盤がせめぎ合う現在もなお、屈指の輝きを放っている。
 この名ピアニストの独奏で聴くラフマニノフのなんという美しさ、身も世もない定めなき情緒とむせび泣きの切なさは極めて不健康ではあるが、これこそラフマニノフの魅力なのだ。秋雨に煙る抒情。これからの秋の夜長を一人しみじみと聴くに何と相応しいレコードであろうか……
 ゆったりとした大河のような雄大な流れの中に、刻々の表情の移ろいを見せる曲の推移に、リヒテルのピアノとヴィスロッキの指揮は何と巧みに沿っていることか。作品の再現というよりは、演奏者たちによって、はじめて曲に生命が吹き込まれたように、熱く深く圧倒的な演奏である。ラフマニノフはワルシャワ録音のわずか2ヵ月前のザンデルリンク指揮レニングラード・フィルとのメロディア録音がありましたが、演奏内容自体は互角としてもドイツ・グラモフォン盤は何といっても鮮明なステレオ録音であることに圧倒的な分があります。
 ドイツ・グラモフォンのアナログ録音を代表する名エンジニア、ハインツ・ヴィルトハーゲンが録音を手掛けてるのも大きなポイントでドイツ・グラモフォンお得意のコンサート・プレゼンス的視座の中で、ピアノや管楽器のソロなどが過不足なくバランスされているのです。
1959年4月26日〜28日(協奏曲)〜5月2日ワルシャワ、フィルハーモニー・ホールでのステレオ・セッション録音。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

レコード番号
SLPM138 076
作曲家
セルゲイ・ラフマニノフ
演奏者
スヴャトスラフ・リヒテル
オーケストラ
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
スタニスラフ・ヴィスロツキ
録音種別
STEREO
TULIP。
DE DGG SLPM138 076 リヒテル・ヴィスウォツキ・ワル…
DE DGG SLPM138 076 リヒテル・ヴィスウォツキ・ワル…

コンディション

ジャケット状態
M-
レコード状態
M-
製盤国
DE(ドイツ)盤

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。
  • オーダー番号34-22536
  • 販売価格6,000円(税別)

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September 27, 2020 at 08:15AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1127893.html
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