通販レコードのご案内 夭折の天才が残した、歴史的にも貴重な記録。
《仏ダークブルー銀文字盤》FR COLUMBIA 33FCX493 ディヌ・リパッティ Dinu Lipatti PLAYS CHOPIN リパッティの遺した名盤のひとつ。数あるショパンの『ワルツ集』の中でもひときわ光芒を放っている逸品。フランスで身に付けた華麗さや洗練さと、ラテン的な情熱が絶妙なバランスを保っている。
これがモノ録音しか聴くすべが無い現代でも高い支持を得ている要因では無いかと結論づけては早計でしょうか。
リパッティは録音が良くない、ピアノの音色がわからないなどと言う人もありますが…
令和2年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。後の明智光秀が主人公で、十兵衛と名乗っていた頃。斎藤道三との対面シーンから撮影はクランクインしたそうだ。2人が対面する直前の斎藤道三の登場は、常在寺の住職・日運が道三の正室である小見の方の病気平癒のため、献上した珊瑚の玉を数珠を作るためにかたちの揃った玉を小姓に仕分けさせているところからはじまる。そこで、リパッティのレコードの音が脳裏に浮かんできた。粒のそろった真珠玉が転がるような玲瓏にして高貴なピアノ。リパッティは録音が良くない、ピアノの音色がわからないなどと言う人もありますが、この日本初出盤はそんなことはなく、リパッティがどのような音色を持ったピアニストであったのか、はっきりとわかります。重厚な低音、鮮やかな中音、玉を転がすような高音と、音域ごとに優れたバランスがあります。ベーゼンドルファーか、スタインウェイか、録音に使用されたピアノははっきりしませんが、弦がハンマーで叩かれていることをイメージさせないベヒシュタインの響きは立体的な音の遠近も奏でられる特色がありますが、SPレコード録音は、テープ録音と比較はできませんが、年代を考えればむしろ優秀録音と言えます。
リパッティが、20世紀のピアノ演奏史に燦然と輝いているのは、単に残された数少ない録音の素晴らさからだけではと思います。リパッティは録音に対しては何時も真剣で一枚のレコードが完成するまでは何度もテイクを重ね、それがより完成度を高めて、結果として強い説得力を生んだと云われている。
33歳で夭折した天才、リパッティが遺した歴史的録音で、自身の行く末を知っていたのか、時に疾走し、時にたゆたう緩急絶妙のテンポ変化はありますが、音楽の重心が低い。それも単に「低い」というレベルを超えていて、その揺るぎなさ、安定感は他のピアニストからは聴くことができない。手の大きさなど物理的な作用もあるのだろうが、それよりも内面によるものが大きい。地球ゴマの円盤が高速で回転運動を行っている間は、回転軸の向きが常に一定不変に保たれる。音楽がどんなに勢いをもって動いても、その奥底ではシンと静まりかえったものがある。その結果として生まれる瑞々しい歌と躍動感が作品と一体となった ― 作曲者と聴く者が直接向き合うかのように感じられる稀代の名演。
彼のピアニズムを一言で言い表すとすれば、繊細、清潔、透明、端整といった表現が相応しいと思います。例えばブザンソンのライヴを聴いて居て感じることですが、既に迫り来る死を避けがたい運命と悟ってたと思われながら、そのような苦悩を微塵も演奏からは感じさせずに、常に聴衆の方を向いていたのではと思いたくなります。
33歳で逝ってしまったことが、何故か、英国のジャクリーヌ・デュ・プレやイシュトヴァーン・ケルテス ― それぞれに病死ではありませんが、突然の最期として ― に重なりあう。リパッティの33歳の早すぎた死は、何枚も名盤量産するという輝かしい未来を奪い、歳月を重ねて到達する円熟の境地を与えなかったですが、このルーマニアの才能を惜しむ声は高まりこそすれ、一向に衰えずリパッティ初期盤収集に苦労します。
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March 24, 2020 at 02:00PM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1116635.html
via Amadeusclassics
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