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1911年初発のSP盤◉ウィルヘルム・バックハウス◯ショパン・ワルツ第11番変ト長調、遺作ホ短調

通販レコードのご案内 “鍵盤の獅子王”と異名をとったバックハウスのピアノには甘さがない。しかしそこには味わいがあり、心に沁みるような語りかけを持っている。

【SP盤】GB HMV 5543 Wilhelm Backhaus Waltz《初回発売、片面盤》【SP盤】GB HMV 5543 Wilhelm Backhaus Waltz 収録曲は、ショパン作曲の2曲のワルツ。1911年7月13日録音。

 ワルツ第11番変ト長調は、小犬のワルツと並んで最も短い小品。中間部のハーモニーの美しさが最大の聴き所で夢見心地の優美な旋律で聴く者の胸に迫ります。後半は遺作ホ短調。序奏はショパンのワルツの中では高度な演奏技術を求め、ホ長調で始まる中間部は甘美かつ優美であり、束の間の心地よい夢から華麗な終結部に至る、観賞用ワルツの極めつけ。

 ヴィルヘルム・バックハウス(1884年3月26日~1969年7月5日)はドイツのピアニストで、後年にスイスに移住しスイス国籍を取得している。バックハウスの師匠はオイゲン・ダルベールなのだが、ダルベールはフランツ・リストの門下生であり、リストの師匠はツェルニーである。そして、ツェルニーの師匠はベートーヴェン本人。故にバックハウスはベートーヴェンの直系の弟子とされる。ただし、直系と入ってもバックハウスの演奏スタイルは、直接の師であるダルベールとは異なるので、音楽に対する姿勢をベートーヴェンから受け継いでいると捉えるのがいいだろう。
 バックハウスの初録音は1908年、EMI へのものだった。当時24歳のバックハウスはすでにベルリンやロンドンで大変な名声を博していた。1912年、バックハウスはニューヨークでウォルター・ダムロッシュ指揮、ニューヨーク交響楽団の演奏でベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏しているが、この時の絶賛の批評が熱狂的だ。
「彼の演奏スタイルは全く非凡で彼のアピアランスはまさにオリンポスの山から降り立った気高き神に似たものがあった」
「彼のテクニックは神業である。バックハウスはアントン・ルビンシュテイン、フランツ・リスト及びイグナツ・ヤン・パデレフスキーの世界3大ピアニスト打って一丸としたようなピアニストである」
 このショパンは、“鍵盤の獅子王”と異名を得ていた若い当時の録音。晩年の演奏はLPレコードで名盤とされるものが多くあり、演奏スタイルは良く認識されているものですが、若いころの“鍵盤の獅子王”は一味も二味も異なり、その異名通りの演奏を聞かせます。

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February 26, 2020 at 08:15AM from アナログサウンド! ― 初期LPで震災復興を応援する鑑賞会実行中 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e1025067.html
via Amadeusclassics

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