通販レコードのご案内 名高いシエピのドン・ジョヴァンニ ― フルトヴェングラー盤の悪びれない堂々とした歌いっぷり(悪漢振り)は無類の名演だ。 通販レコードのご案内 IT FONIT CETRA FE23 フルトヴェングラー モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』は、最もフルトヴェングラーにこそふさわしい人間ドラマのオペラ。 フルトヴェングラーがザルツブルグ音楽祭で振った「ドン・ジョヴァンニ」は映画撮影用を含めて1950年、53年、54年と3種類あるが、これは1953年のライヴ録音。信じられない豪華キャストです。今日まで最高のドン・ジョヴァンニ役としてあまりにも名高いシエピの歌と演技をはじめ、すぐれたキャストによる演奏の素晴らしさはいうまでもありません。 (1953年7月27日ザルツブルグ、フェルゼンライトシューレ(ライヴ録音)) 元々は騎士長以外が同じキャストの翌年の録音が有名で、映像ソフトも出ていました。ただ、1954年のライヴ盤は最後の部分、地獄落ちの後の六重唱はテープが消失していたので1953年の音源で補っていたそうなので、一貫した全曲のライヴ録音としては1953年の方が万全と言えるわけです。いずれにしても演奏の内容は深刻さに覆われて、喜劇的な空気は限りなく薄いものの、グリュンマーやデルモータの声質の効果もあってか重厚という印象ではありません。作品世界とは裏腹に、本当に澄んだ独特な音楽になっています。 不世出のドン・ジョヴァンニ役者チエザーレ・シェピは、最後の幕の有名な「地獄落ち」の場面で、「悔い改めよ!」と迫る騎士長に、「ノン、ノン、ノン!」と3度、4度と断固拒否を貫くのですが、ドイツ語圏の歌手が並んでいる中にあってシエピだけがイタリア人という布陣なので、双方の対決を支援する管弦楽の圧倒的な遅さと、圧倒的な咆哮の兇暴さは、不思議に卑しさが出てきません。それほど代え難い存在なのが聴いていても分かります。 モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」は、ダ・ポンテの台本によるオペラ・ブッファなので、本来であれば喜劇です。けれども、モーツァルトはこの作品を「ドラマ・ジョコーソ」と呼びました。「ドラマ」が〝悲劇〟を表すのに対して「ジョコーソ」は〝喜劇〟の意味ですので、モーツァルトはこのオペラには悲劇と喜...